(前の記事からの続き)
鳩山法相のときから 法務省は、
死刑を積極的に 執行する方向へ かじを切りました。
宮崎死刑囚のT弁護士は、 宮崎の処刑が 遠くないと感じます。
執行の順番は 判決確定順が原則ですが、
再審や恩赦を 請求している死刑囚は 通常あと回しになります。
宮崎は 確定順で中間でしたが、
T弁護士は 犯行時の責任能力を問うため 鑑定依頼をしました。
他の死刑囚も 焦りを感じ、 再審や恩赦の請求を 相次いで出します。
新証拠もなかったり、 棄却された前回の再審請求と 全く同じ理由で請求する、
“執行逃れ” が大半でした。
この請求ラッシュによって、 鑑定順が早い死刑囚が 執行対象からはずれ、
宮崎の順番は 繰り上がっていきました。
鳩山法相は法務省幹部から、 そのことを耳打ちされたといいます。
刑事訴訟法では、 精神疾患で 刑罰の意味を理解できない 死刑囚には、
刑の執行を 停止すると定めています。
しかし宮崎は 死刑廃止論者の安田弁護士に、
即刻 自分の再審弁護士になってほしいと 手紙を出したため、
法務省は 宮崎が死刑の意味を 理解していると分析しました。
T弁護士は法務省に、 再審請求の新証拠を準備していると 伝えましたが、
効果はなく、 宮崎の死刑は 執行されました。
形式的な再審請求によって 執行が回避できる現状を、
考え直すべき 時期かもしれません。
〔読売新聞より〕
(次の記事に続く)