記事では 「完全自殺マニュアル」 (太田出版) を取り上げています。
本書は 自殺を推奨も阻止もせず、 首吊り, ガス, 飛び込みなど、
死ぬ方法を図解入りで、 ただ事実とデータのみを 詳述しています。
筆者の鶴見済 (わたる) 氏は、
「自殺がいいとは言わない」 と 前置きした上で、
「どんなに苦しくても生きろ と言うのはおかしい」 と 断言します。
樹海で この本を持った自殺遺体が 見つかった一方、
「この本で救われた」 という 瀬戸際の人たちからの 声が寄せられました。
自殺を助長する という批判と、
「死に向き合う事で 生きようと思った」 と 絶賛する意見、 賛否両論です。
この本の後書きには こう書かれています。
「強く生きろ、 自殺は弱いもののすることだ、などということが
平然と言われている 生き苦しい世の中に 風穴をあけて、
ちょっとは 生きやすくしたいからだ」
また、 南条あやが ネット上で書いていた日記。
「いつでもどこでもリストカッター」 と 自称して、
奇妙に軽いタッチで、 自殺未遂を繰り返す 自らの日常を記しています。
高校卒業の直後に 大量服薬で亡くなるまでの 日記は、
彼女の父親が 「卒業式までは死にません」 (新潮社) として 出版しました。
今も10代から 「お守りにしています」 という 手紙が届くそうです。
それから10年。
「自殺は弱い人」 と 決めつける言い方は減ってきました。
「その点はよくなった」 と 鶴見氏は言います。
〔 朝日新聞 「3万人の命に」, 「ウィキペディア」 より 〕