(前の記事からの続き)
一方、 旅券の更新時、 長女は日本に残りました。
元夫は その長女を連れ戻そうと、 9月に入国した時、 逮捕されたのです。
裁判では、 法を軽視した 元夫の態様の悪質さ、
犯行後の情状の悪さなどを 断じる一方、
次女が 中国で元夫と同居を 選んでいることなどを踏まえ、
執行猶予が付いたということです。
(元夫は再婚して、 1才の息子もいるそうです。)
女性は今、 長女と一緒に暮らしています。
長女は 連れ去られた場所に通りかかると、 泣き崩れたといいます。
摂食障害も抱えており、 通院しているそうです。
長女は 今も元夫を恐れ、 心はずたずたに傷ついています。
過ぎ去ってしまった 10年という年月、
どうやって取り戻したらいいのか、 女性は 途方に暮れているということです。
執行猶予付きの判決では 連れ去った者勝ちだと、 女性は嘆きます。
現在 国際結婚・離婚は増え、
国境を超えた 子供の連れ去り事件は、 決して 珍しいことではなくなっています。
国際的な 子供の連れ去りがあった際、
元の国に 子供を戻すことを定めた 「ハーグ条約」 というのがあります。
ただし 双方の国が、 ハーグ条約を 締結していなければなりません。
現在は 日本も中国も ハーグ条約に加盟しておらず、
今回の事件では 全く効力がありませんでした。
日本は 国内法との整備ができていないというのですが、
今後早急に 条約を批准する必要があると思います。
そうでなければ、 この女性のような悲劇は またいつでも起こりうるでしょう。
また女性は、 DVを受けた 母子の保護も 強く望んでいます。
2004年にDV法が改正され、
「被害者の子供への 接近禁止命令」 が 発令されました。
その議員立法成立の過程では、
実はこの女性が 公聴会で意見を述べ、 多大な影響を与えたのです。