(前の記事からの続き)
共生型介護施設では、 お年寄りは子供から エネルギーをもらい、
子供はお年寄りから 優しさや安心をもらいます。
スタッフは 事故がないよう見守りながら、 入居者の自由にさせています。
しかし、 施設の中を 子供が走り回り、
お年寄りとぶつかったりする 危険性があります。
共生型介護施設では、 看護師, 介護福祉士, 保育士など
専門家が関わることで、 危険を防止するようにしています。
利用者やその家族は、 リスクやいざこざも 承知の上で それを受け入れ、
施設が 豊かな人間関係を 作り出していることのほうを、 選択しているのです。
しかし 共生型介護施設は、 まだ少数の地域にしか 広がっていません。
高齢者, 障害者, 児童では、 行政の管轄が異なるからです。
ある県では、 走る子供が 高齢者にぶつかるのを防ぐため、
施設内での 子供と高齢者の スペースやスタッフを、
はっきり分けるよう 行政指導がなされます。
現場では、 共生型に対する 行政の理解が足りないと 訴えます。
しかし 行政側からすると、 高齢者が 介護保険を受ける以上、
介護に支障があってはいけない、
高齢者の施設のスペースは 専用でなければならない という立場です。
もし高齢者と児童を 同じ施設にするなら、 玄関を2ヶ所にしなさいと 指導します。
今は 共生型介護を推進する 行政組織がないのです。
別の県では、 地域福祉課が先駆的に実践し、 それを県が評価して 推進しています。
そのような形で進めていくのが、 現在 望ましいあり方なのだといいます。
〔 「クローズアップ現代」 より 〕