「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

心子、 10年目の祥月命日 (3)

2011年01月19日 20時24分45秒 | 心子、もろもろ
 
(前の記事からの続き)

 それから、 心子が 最後の晩餐を取った、

 ホテル12階の レストランへ向かいました。

 受付で、 10年前のことを ご存じの方はいらっしゃるかと 尋ねると、

 少々お待ちくださいと。

 店の中に入ると、 何と、 ここも改装されてしまっていたのです。

 ひとつだったレストランが ふたつの店に分かれ、

 心子が入った店は フロアの左半分だけに なってしまっていました。

 しかも 心子が舞った窓側とは 反対の方で、

 心子の最後の晩を 偲ぶこともできません。

 実はこの日は メモリアルとして、

 大奮発して このレストランで ランチをいただこうと思っていました。

 でもこれでは 心子を追憶することもできず、

 終の場所を 見ることもできないので、 やめてしまいました。

 10年前を知る人が やってきて、 レストランは7年前に 改装されたという話です。

 ただその人は 心子のことは知りませんでした。

 その時のことを 知っている人がいるというので、 呼んできてもらいました。

 その人は 自殺者があったことは 聞き及んでいましたが、

 従業員は それ以上のことは 知らされなかったそうです。

 ホテルの作りのことや、

 ホテルの前の建物の 住人 (心子の投身を 発見した人) に関する

 話などを聞きました。

(この人にも 拙著のチラシを渡しました。)

 心子の足跡を保つ モニュメントが、

 少しずつ消えていくような 気がしてしまいます。

 心子が宙に舞った辺りを 心ゆくまで見入り、

 その場をあとにして、 心子の墓前へと向かいました。

(次の記事に続く)
 
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