「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

働いて社会とつながる -- 明日の課題 (4)

2011年01月15日 21時15分25秒 | 罪,裁き,償い
 
 法務省は2006年、

 受刑者を社会に慣れさせるため  「外部通勤制度」 を導入しました。

 服役中の受刑者を、 刑務所外の民間の職場に 通勤させる制度です。

 服役して9年目の男 (43) は この制度の対象になり、

 塀の外に 歩いて出ました。

 刑務官は付いてきません。

「まだ受刑者なのに 信じられない」

 朝から商品の検品をして 夕方に帰り、 昼食時には社長と雑談もします。

 社長は 受刑者の丁寧な仕事ぶりを 誉めました。

 一方 社長の妻は、 「罪名などが分からないのは怖い。

 女性従業員とは なるべく接触させないように 気を付ける」 と 不安を口にします。

 男はこの経験から、 「この人たちのようになりたい。

 早く 家族や被害者のために働きたい」 という 気持ちになったといいます。

 08年までの10年間に、 仮釈放者の中で、

 再犯をしたり、 仮釈放が取り消されたケースは、

 無職者の場合10%で、 有職者の6倍。

 再犯防止に 就労支援が必須なのは明白です。

 ある会社社長は 刑務所で受刑者と面接し、

 二人を出所後に 雇用することを決めました。

 そのうちの一人の元受刑者 (29) は、

 就職後、 ある時 店長から尋ねられました。

 「レジ閉めもやれるか」

 服役前は 盗みを繰り返していた自分に、

 売上金の管理を 任せてくれることに驚き、 感激しました。

 接客もし、 今の目標は 主任昇任試験です。

 各地の刑務所では ハローワークなどと連携して、

 出所前から 求職活動を始めるプログラムが 06年に始まりました。

 初めは 「職を探してもらえる」 と 考えていた受刑者たちが、

 自力で探そうという 気持ちに変わります。

 その意識を持ってこそ、 社会に出て 生き直せるのです。

〔 読売新聞より 〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする