避難所には 介護が必要な高齢者も 大勢暮らしています。
高齢者にとって 長引く避難所生活は 命に直結する問題です。
「福祉避難所」 が その解決策のひとつとされています。
福祉避難所とは、 災害時に、
介護の必要な 高齢者や障害者を 一時受け入れて ケアする施設です。
バリアフリー化され、 専門スタッフを配置した 介護施設や学校を、
自治体が指定します。
民間施設の場合は、 事前に協定を結んでおきます。
石巻の中学の体育館は、 医師や看護師約20人が 24時間対応する避難所です。
Yさん (82才・女性) は 認知症を患い、 足も不自由で 要介護度5ですが、
ここに来て やっと落ち着きました。
Yさんは最初は 別の中学に避難しましたが、 ストレスが高じて 症状が悪化。
毎晩、 「火事だ、 逃げろ~」 と 声を上げ、 別の避難者から 苦情が出ました。
そこで、 石巻に急遽開かれた 福祉避難所にやって来たのです。
肺炎, 脱水, 床ずれが原因の感染症。
体力の弱った高齢者は、 ケアを怠れば 死に至ります。
この福祉避難所では、 1日2回のスタッフ会議で、
気になる人について 情報を共有し、 ホワイトボードに書き込みます。
Yさんはここに 1週間ほど滞在して、 地元の特別養護老人ホームに 戻りました。
しかし 福祉避難所を指定している自治体は、 全国平均で34%。
岩手, 宮城, 福島では 23%にとどまっています。
どこも満杯の状態で、 待機者も出ています。
そもそも 福祉避難所に辿り着けず、
一般の避難所に残っている 要介護高齢者も多いと見られます。
福祉避難所は あくまで一時的なものです。
その後は 施設に戻ったり、 仮設住宅に移ったりすることが 想定されています。
避難所を出たあとの 受け皿が大きな課題です。
被災地以外での受け入れを、 広域でカバーすることが求められます。
〔 朝日新聞より 〕