「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

診断を得る

2014年04月16日 21時25分10秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 精神科の診断は なぜ難しいのでしょう。

 身体疾患と異なり、 細菌やがん細胞が存在しないのです。

 臨床家のなかには、 診断に価値を置かず、 主観的な人もいます。

 具体的な問題や心配事に 焦点を当てるのを好みます。

 それは、 BPDに有効な治療があっても、 考慮に入れないということになります。

 診断に価値を置く臨床家は、 診断が より深い理解をもたらし、

 問題に対処したり、 治療計画を立てる 一助になると考えます。

○ 治療計画

 患者とセラピストは、 セラピーの目標と達成について 計画を立てるべきです。

 それには次のことが含まれます。

・ クライアントの問題, およびその程度。

 (軽度、 中程度, 重度, 危険な状態)

・ 特定の治療目標と、 取るべき手段。

 (治療方法, その頻度, 薬物など)

・ 他のヘルスケア提供者の役割。

 必要なら、 計画を見直す期間。

○ 子供の診断

 未成年のパーソナリティは 完全に形成されてないので、

 臨床家は 青年期までBPDの診断を 見送ると言います。

 しかし それには長い時間がかかるため、 必要な援助を 子供から奪ってしまいます。

 子供にBPDの症状が 1年以上続いた場合、

 DSMも 子供の診断を容認しています。

 そうすれば、 はっきりした診断の前でも、 彼らを援助できます。

 典型的な青年期の行動化と、 BPDのものを区別するのは、

 行動そのものではなく、 その行動の原因です。

 BPDの青年は、 深い苦悩, 空虚感, 自己嫌悪, 見捨てられ不安に

 対処する方法として、 薬物使用, 親への激怒, 自傷をするのです。

 総合的な評価には 次のことが含まれます。

・ 子供の現在の問題や症状

・ 健康, 病気, 治療の情報

・ 親と家族の健康, 精神科の病歴

・ 子供の発達, 学校の成績, 友人, 家族関係

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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