「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

徹底的受容 (1)

2016年05月11日 20時42分35秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 弁証法的行動療法 (DBT) の 「弁証法」 とは、
 
 極めて異なるふたつのものの 両方を尊重しながら、 比較することです。
 
 DBTでそのバランスは、 「変化」 と 「受容」 の間で保たれます。
 
 苦痛を引き起こす行動を 変化させる一方で、
 
 ありのままの自分を 受け入れる必要があります。
 
 矛盾しているようですが、 DBTでは 受容と変化の両方が重要なのです。
 
 自分の人生を いかに徹底的に受け入れるか (徹底的受容) は、
 
 最も難しいスキルのひとつです。
 
 例えば、 現在の瞬間を 徹底的に受け入れるということは、
 
 それに対して怒らない、 他のものに変えようとしない ということです。
 
 現在の瞬間が、 長い過去の 一連の結果だということを 受け入れねばなりません。
 
 虐待されたり襲われたりなど 不当な状況は別にして、
 
 人生における状況には 自分にもいくらかの責任があるのです。
 
 圧倒されるような感情を持つ人々は、 “降りかかってくる” 状況に対して、
 
 自分自身にも役割があることに 気付いていません。
 
 その結果、 彼らの反応は  「怒る」 ということです。
 
 そして、 自分自身を傷つけ、 大切な人を傷つけてしまいます。
 
 現在の瞬間を 徹底的に受け入れるということは、
 
 自分も一因になっていることを認識し、
 
 あまり苦痛でない新たなやり方で 対応する機会を与えてくれます。
 
 徹底的受容とは、 平安の祈りのようなものです。
 
 平安の祈りとは、
 
 「変えられないものを受け入れる平静さと、 変えられるものを変える勇気と、
 
 それらを見分ける知恵を 与えてください」  というものです。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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