感情の問題解決をするには、 圧倒されるような感情を誘発するでき事に 焦点を当て、
有効な対応法を見つけることです。
行動分析とは、 問題の感情を起こしたでき事を 追跡することです。
行動分析ワークシートは、 そのプロセスを段階的に示します。
【例】 行動分析ワークシート
C男さんは、 怒りの反応の行動分析を行ない、 多数の内的誘因を見つけました。
問題となる感情
母親に対する激しい怒り
引き金となったでき事
・外的なでき事: 母親の訪問。 僕の家を見て、 彼女はうんざりしたように見える。
・思考: 家は汚れている。 庭は草だらけで 荒れ果てて見える。
二次的なでき事
a.感情:悲しみ
思考: この家が嫌いだ
b.感情: 恥辱感
思考: 何故こんな汚い所で 暮らしているのか? 僕が駄目男だからだ。
c.行動: 母親を責めた。 「僕たちにお構いなしで、 助けてくれない」
彼女は怒りを爆発させた。
母の訪問という 外的なでき事は、
一連のでき事の ひとつのステップでしかないことに 注意してください。
彼の激怒に繋がった ステップのほとんどは、
思考や苦痛な感情など、 内的なものでした。
C男さんは、 どのステップを変化させたいか確かめ、 問題解決することができます。
感情に押し流される前に、 行動を変化させることで、
圧倒されるような感情を変化させたり、 和らげられるのです。
行動分析後の最初のステップは、 引き金となったでき事, または二次的なでき事の
どれを変化させたいか決めることです。
これは、 次のものでなければなりません。
(1) コントロールできるでき事 (あなた自身の思考, 行動など)
(2) 変化させたあとは、 問題の感情を減らせるでき事
C男さんは、 恥辱感を引き起こす思考と、 言葉の攻撃を 解決することにしました。
C男さんは毎回、 怒りだす前に この同じパターンを 繰り返すことに気付きました。
恥辱的な思考が始まり、 耐えられないほど苦痛になります。
すると 他の人の過失を見つけることで、 恥辱感を覆い隠そうとしますが、
それによって怒りが誘発され、 やがて攻撃になるのです。
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
[星和書店の許可のうえ掲載]