加齢で聴力が衰え、 一般的には補聴器を使います。
しかし 本人の意欲や周囲の気遣いで、 聞こえ方が改善されることがあるといいます。
79才の女性は、 補聴器でも会話がうまくいきませんでした。
「相手に 自分が難聴だと伝え、 自分から相手に近づいたり、
ゆっくり話してもらうよう 頼んだりしてみて」 と、 言語聴覚士に助言されました。
女性は、 「難聴だと知られるのが 嫌だったけど、
思い切って実行したら 随分聞きやすくなり、 外出が楽しくなった」 と 喜びます。
高齢者は 単に音が 小さく聞こえるだけでなく、 高音や子音が聞こえづらく、
「音は聞こえても、 言葉が聞き取れない」 という人は多いものです。
家族に テレビの音が大きいと言われたら、 コードレススピーカーを近くに置いたり、
無線で補聴器に音声を送る 補助具などがあります。
ただ 使い方によって 耳を痛める可能性もあるので、
医師や言語聴覚士に 相談が必要です。
難聴の高齢者には 周囲の協力が大切。
助けになるのが 「聞こえの自己評価表」 〔*注〕 です。
本人がどれくらい聞こえにくいのか 把握できれば、 手助けしやすくなります。
耳元で大きな声で話すと、 逆に声が割れ、 聞きづらくなります。
相手と正対し、 ゆっくり、 自然な抑揚で 話すのが基本です。
他に、 語尾を曖昧にせず はっきり言い切る, 複数の人が 同時に話さない,
テレビや水洗いの音など、 周囲の余分な音を減らす、 などを心がけましょう。
難聴を理解すれば、
コミュニケーションが取れない高齢者の 孤独感を減らすこともできます。
〔*注 : 「聞こえの自己評価表」 〕
「そうだ」 「そうかもしれない」 「そんなことはない」 で回答します。
① 二人以上が同時に話すと 聞き取れない
② 自動車の中での話が 聞きにくい
③ 人が もぐもぐ話していると感じる
④ 周りの人が 「補聴器を付けてみたら」 と 考えているようだ
⑤ 騒音の多い環境にいる (いたことがある)
⑥ 相手に もう一度言ってと頼んだり、 話を推測して判断したりする
⑦ 相手の顔を見ている方が 話が分かると感じる
⑧ テレビのセリフが聞き取れない
⑨ 携帯電話の着信音に 気付かないことがある
⑩ 集会や授業などで 話が分からない
「そうだ」 5点, 「そうかもしれない」 3点, 「そんなことはない」 1点で
計算し、 合計15点以下なら 問題なし。
30点前後なら 耳鼻科で相談を, 40点以上なら 詳しい検査と補聴器を検討する。
〔読売新聞より〕