ネタは降る星の如く

とりとめもなく、2匹の愛猫(黒・勘九郎と黒白・七之助)やレシピなど日々の暮らしのあれこれを呟くブログ

北京で迎える8月15日

2005-08-11 20:39:51 | 日常
 来週、北京に出張する。終戦記念日を北京で迎えることになる。

 気持ちとしては真っ先に天安門広場に行って天安門事件で亡くなった人々のために手を合わせたいのだが……日本人にとっての終戦記念日が中国人にとっては違う意味を持つことも想像できるし、このところの反日感情を考えると(ニュース記事「8・15」反日活動呼びかけ、中国当局抑え込みへ)、この日に天安門広場に行くことがよいかどうか……仕事を抱えて出張するわけでもあるし、じっくり様子を見てから行動したい。

 8月15日といえば、今読んでいる『昭和の三傑 憲法九条は「救国のトリック」だった』堤堯(集英社インターナショナル)で幣原喜重郎について述べる章で印象的な場面があった。出典は伝記『幣原喜重郎』幣原記念財団だそうだ。
 ――終戦の玉音は日本倶楽部で聞いた。「満堂愕然として色を失い、万感胸に迫って頭を垂れ、一語を発する者もない。一隅よりすすり泣きが聞こえた。私も思わず手巾で目を蔽った」
 帰途の電車の中、乗客が一人、涙ながらに悲憤慷慨する。
「なぜ今回の戦争に突入しなければならなかったのか、納得できない。政府や軍部は楽観的な報道のみを掲げ、無条件降伏の状況に迫っていたことなど、一言も公表しなかった。国民に目隠しをし、場に追いこむ牛馬と同じ扱いではないか」
 これを聞いて「満車の乗客はことごとく同感の叫び声を揚げた」。この状景を思い出しては「夜半夢平かなることを得ない」。今回、国政を担当するにつき、この光景が絶えず私を刺激する。
 「国民が子々孫々、その総意に反して戦争の渦中に引き込まれることなきよう、憲法の根本的改正によって、国政に対する国民の指導権を強化する外なきことを信じた」

 これが、日本国憲法を発布した時の内閣、幣原喜重郎の胸中……。

 憲法改正が叫ばれる声が大きくなってきた昨今、これを読み、自分の母から聞いた昔語りを思い出す。疎開先で見た東京大空襲の炎。玉音放送。教科書に墨を塗らされ、今までの教育が否定されるのを実感した時のこと。食べるものにも苦労した戦中と戦後。

 幣原喜重郎が記した「その日」から60年が経つ、8月15日。私は北京で何を見るのだろうか。そして、何を感じるだろう。

立花隆、分裂選挙の展望

2005-08-11 12:30:21 | 時事
うーむ、なるほど。

立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」 第37回 衆院解散、派閥解体で小泉首相が狙う次の一手

 派閥を解体して小泉党にしようとしている、ということは、薄々感じられるのだけど。

民主党が選挙に勝って、次の政権は民主党のものになることが必至という見方が強いという話は前にも書いた。小泉首相をそのような不利な客観的情勢を承知の上で、あえて誰も賛成しない解散、総選挙に踏み切ったのはなぜか。

自暴自棄の行動なのかというと、私はそうではないと思う。たぶん大きな計算が背後にあるのではないか。

自民党が分裂選挙に走ったら、自民党が民主党に敗北すること必至といわれるが、私は必ずしもそうではないと思う。自民党が分裂選挙になるなら、民主党も分裂選挙になるように誘導すればよいのである。

(中略)

自民党が分裂して、民主党が分裂しなかったら、自民党の敗北(小泉政権の終わり)は必至である。小泉首相はそれ以前に必ずや民主党員の懐の中に手をつっこんでくるだろう。93年に自民党、社会党、さきがけが合流して、権力をとったことがあることを思い出せば、自民党と民主党がそれぞれ分裂して、組み合わせを変えることなど、大いにありうる話だと思う。


 自民は分裂選挙だから民主党に有利、と結論づけないところが、穿っているなぁ。

 私が最近よく読んでいるブログ「世に倦む日日」では、筆者thessalonikeさんの鋭い政情分析にいつも感心させられている。今回は民主党の勝利を大胆予想されているのだけど、この結果予想に関してだけは、「うーん、そんなに簡単に行くかなぁ」と、少しひるんだ。理屈でなく、勘とか直感の部分で。何しろこの4年間、小泉首相がやらかしてきたチョンボの数々を敵失として利用しきれていない民主党だ。

 そう思っていた時に、この立花さんの文章を読んで、なるほどと思った。小泉という人は、政策の中身は丸っきりわかっていないが、メディアを使って政敵のイメージを貶めるのはうまい人物だ。まだまだ投票日まで1ヶ月近くある中で、民主党に対してどういう手を打って来るか、それも注目する必要があるだろう。

 以下のような記事も、民主党を油断させるものではないかと疑ってかかったりして(汗)。

自民・公明で過半数獲得は微妙、民主の単独過半獲得はない=自民・加藤紘一氏
選挙の見通しについて、加藤氏は、「小泉首相は、自民党と公明党で過半数を取れると思っている。しかし、それは、ちょっと難しい」と述べ、自民・公明でも240議席程度と、厳しい見方を示した。

 加藤氏は、自民・公明は過半数を得るために、反対派の一部と組むこともあるだろうとし、そうなれば、「(首班指名では)小泉さんには代わってもらうか、(過半数割れのまま)弱い政権になる」と指摘した。