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《本記事のポイント》
- 政府が駐韓大使らを韓国に帰任させると発表し、慰安婦問題は棚上げに。
- 韓国の最有力次期大統領候補「共に民主党」の文在寅氏は筋金入りの親北派。
- アジアの安定と繁栄のために、日本も防衛力をさらに強化する必要がある。
韓国政治が混乱する中で、朝鮮半島を大きく動かす出来事が続いている。
日本政府は3日、韓国・釜山にある日本総領事館前に慰安婦像が設置されたことへの対抗措置として一時帰国させていた長嶺安政・駐韓大使らを韓国に帰任させると発表した。対北朝鮮政策などでの連携を優先させる考えとみられる。
政府は、長嶺氏らの帰任時期は慰安婦像撤去の「韓国側の行動次第」と言っていたが、結局慰安婦像撤去の見通しは立っておらず、棚上げのままだ。長嶺大使らは今後、現政権と各大統領選候補たちを相手に、日韓合意を継承するよう働きかけを強めるだろう。しかし、大統領選候補の5人は日韓合意の再交渉か破棄を主張しており、交渉は難航を極めそうだ。
韓国の次期政権は北朝鮮の言いなり?
また、5月9日に行われる大統領選に向けて、最大野党の「共に民主党」は4月3日、予備選で文在寅前代表を党の候補に選出した。朴槿恵前大統領の一連のスキャンダルで保守系勢力が退潮するなか、文氏は予備選で支持率トップを独走している。
文氏は「北朝鮮のスパイ」と呼ばれるほどの親北派として知られ、北朝鮮や中国のミサイル攻撃から防衛するための高高度ミサイル防衛システム「THAAD(サード)」の配備には反対している。また、日韓合意を見直す考えを表明するなど反日的な政策が目立つ。もし文氏が大統領になったら、朝鮮半島全体が反日勢力となり、日本の国防においても大きな危機となりかねない。
北朝鮮が米韓の軍事機密をハッキング
さらに、韓国の存続を脅かす事件が起きている。韓国KBSテレビは3日、韓国軍の内部ネットワークに対する北朝鮮のハッキングで、朝鮮戦争が全面再開された際に適用となる米韓軍の軍事作戦が流出していたことを報じた。もしこの流出が事実なら、韓国軍がこれまでに受けたサイバー攻撃の中で最悪の被害となる。
北朝鮮によるハッキングは2016年9月に行われ、12月に発覚した。しかし韓国の国防相は当時、「深刻な影響をもたらすものではない」とし、被害は軽いものだと主張していた。親北派の大統領候補が選ばれれば、韓国の軍事機密の保持はより怪しくなり、アメリカも軍事協力を躊躇する事態になる可能性もある。
日本も抑止力としての核装備の検討を
そんな朝鮮半島で影響力を強めているのが、トランプ米政権の強硬な対北朝鮮政策だ。
トランプ政権が3月に北朝鮮への制裁を強化する方針を固めたことを受け、北朝鮮は「われわれが制裁をいかに粉砕するかを世界はまもなく見ることになる」とけん制した。
北朝鮮は現在、6回目の核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の準備をしているとみられる。もし北朝鮮が核実験やICBM開発に成功し、米国民の生命を脅かす行動を取れば、トランプ政権は北朝鮮の金正恩体制を覆すほどの報復に出る可能性もあり、まさに一触即発の状態だ。
日韓関係を阻む慰安婦問題は棚上げ、親北派政権の誕生の可能性が高く、アメリカの北朝鮮に対する態度も変化してきている。
こうした状況の中でアジア全体の安定と繁栄を守るためには、日本が正当な範囲内での防衛力を持ち、アメリカとともに、北朝鮮と、その奥にある中国の軍拡を押し留めることが必要となる。アメリカが核の力で他国からの攻撃から自国を守っているように、核保有国に囲まれた日本こそ、抑止力としての核装備の検討を始める時期に来ている。
(小林真由美)
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