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《本記事のポイント》
- 一人の中に複数の人格がある状態は、憑依現象の場合が
- たとえ憑依であっても、行為の最終責任は本人
- 裁判所は、霊的価値観を考慮したうえで判決を下すべき
ある事件の裁判が注目を集めている。東京都に住む神いっき被告は、「声優のアイコ」を名乗り、複数の男性に睡眠薬を飲ませて金品を奪ったとして、「昏睡強盗罪」などに問われている。裁判では、被告には刑事責任能力があるか否かで争われ、その判決が28日に、東京地裁で言い渡される。
被告側は、「解離性同一障害(いわゆる多重人格障害)」という、別人格の犯行によるものとして無罪を主張。検察側はそれを否定し、懲役15年を求刑している。
被告には、複数の人格が確認されており、今回の犯行は「ミサキ」という女性の人格が「声優のアイコ」と名乗って行ったと主張している。この他にも、コウジという男性や、ゲンキという幼い男児の人格も存在するという。
複数の人格に見る「憑依現象」
複数の人格を有する状態は、精神医学では「解離性同一障害」と呼ばれる。以前は「多重人格障害」と呼ばれていたこの症状は、実は、宗教的に見れば、「憑依現象」の可能性が高い。
憑依現象とは、地上で生きている人間に、現在肉体を持っていない霊存在が影響を与える、もしくは肉体を支配してしまうことを指す。基本的には、本人が考えていること、思っていることと似た霊を呼び寄せることが多い。だが、激しい自己否定や薬物、アルコールによる酩酊状態などにより、本人の魂が肉体から離れてしまい、悪霊などが肉体を支配することもある。
神被告は、憑依された状態で犯行に及んだとみられる。
実際、被告は憑依を受けやすい環境で育てられてきた。被告の父親は、小学生だった被告の頭を鉄アレイで強打したり、夜遅くに帰宅した被告の首を強く締め、虐待を行っていたという。
被告は、強いストレスを受け続けことで、自らの魂が肉体から遊離してしまう「離人症」になっていたと推測される。そうした環境を考慮すれば、被告も、ある種の"被害者"であると言えよう。しかし、最終的には、憑依されてしまった責任はまぬがれない。
裁判所に求められる霊的価値観
憑依現象を避けるには、自らの心をコントロールし、点検する姿勢が求められる。
基本的には、本人と似た考え方を持つ霊を呼び寄せるので、心の中が憎悪や嫉妬、怒りなどの負の感情に満ちていないかをチェックし、その都度心の状態を正す必要がある。また、社会的な知識を身につけることで、憑依を防ぐこともできる。
地上に生きる人間が、そうした霊的知識を持ち、自分の心を統御して真っ当な社会生活を送ることが、憑依現象を予防することができるわけだ。
現代の医学では、憑依現象を十分に解明できないため、裁判所は、別人格による犯行をどのように扱っていいのか悩んでいるのが実情であろう。罪を正当に裁き、犯人の更生を促すためにも、裁判所には霊的価値観への理解が求められる。
(片岡眞有子)
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