[HRPニュースファイル1805]http://hrp-newsfile.jp/2017/3145/
HS政経塾6期生 須藤有紀
◆教育勅語を巡る議論
このほど、安倍内閣が「教育勅語」について、「憲法や教育基本法に反しない形」で教材として使用を認めるとの閣議決定を行いました。
これに対し、特に、朝日新聞、日経新聞、東京新聞が強く反対の意を示しています(4月5日東京新聞社説、4月9日日経新聞社説、同日朝日新聞朝刊二面など)。
その主な理由は、(1)軍国主義思想への危惧、(2)国民主権と相容れない皇道主義的文言、(3)戦前回帰への危惧、の3点にあるようです。
◆「教育勅語=軍国主義」は本当か?
それでは、教育勅語は本当に軍国主義教育を行うことを目指していたのでしょうか?
よく言われるのは、教育勅語の中心思想が「一旦緩急アラバ義勇公ニ奉シ 以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スベシ」にあります。
つまり、「もし一たび国家に重大な事変が起こったならば、正しい勇気をもって、お国の為に真心をつくし そうして天地が永遠につづくと同じように、限りなく栄えてゆく日本の国の運命を助けなければならない(明治神宮訳)」
という考え方にある、ということです。
これをもって、教育勅語が「国家が非常事態に陥った時には天皇のために身命を賭すことが、不変の真理であると国民に植え付けた(4月5日東京新聞社説)」などと批判されています。
◆教育勅語の中で示される「教育の淵源」
しかし、これは誤解です。
教育勅語の前半部分をよく読んでみましょう。
「教育ノ淵源亦実ニ此ニ存ス」、「教育の一番大切な根本はここにある」という文があります。
これが指しているのは、「我ガ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ」の一文です。
つまり、教育勅語の中で明確に、「一番大切な教育の根本は、忠孝の考え方ですよ」ということを謳っているのです。
◆教育勅語成立の背景
終戦直後の昭和22年7月衆議院本会議答弁で、森戸辰夫大臣は「この教育勅語は、決して軍國主義、超國家主義、あるいは極端なる國家主義を主張するものではございません。」と答弁しています。
時の文部大臣が、教育勅語自体には軍国主義、超国家主義的な方向に向かうような意図はなかったということを述べているのです。
むしろ、そうした誤解や歪曲を避けるべく、中心的な起草者である井上毅は、教育勅語作成に取り掛かる前に、作成の条件をいくつか挙げています。
中でも注目すべきは、「政事上の命令とは区別し、社会上の君主の著作広告として看ざるべからず」の一文です。
「(天皇のお言葉として出される勅語は国が上から押し付けるかたちを避けるべきである)勅語は命令ではなく、天皇の社会的著作として扱われるべき」という考えだったのです。
そして、その考え方が実践された証拠に、教育勅語には御名御璽(お名前とご印鑑)があるのみで大臣の副署はなく、違反した際の罰則規定も設けられておりません。
故に、政治上の命令、法令として出されたものではなく、あくまでも道徳的教育の指針として出されたものであったのです。
このことからも、教育勅語はあくまでも、天皇の威を借りた道徳的啓蒙の一貫であったことが見て取れます。
◆教育勅語も見直しを!
確かに、「爾臣民」など、教育勅語がその文言の端々に、封建主義的風味を残している点は否定できません。
しかし、「父母二孝二 兄弟二友二」などという徳目が、普遍の道徳的真理を内包していることもまた事実です。
そして、今日行われている道徳教育の学習指導要領と、教育勅語に盛り込まれている徳目を比較してみれば、その大部分が一致しています。
政府が言うように、「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導」は「不適切」であるかもしれませんが、憲法や教育基本法に反しないような配慮があれば「教材として用いることは問題としない」というのは正しい言い分ではないでしょうか。
◆新しい価値観を教育に!
日本の教育は、占領軍であるGHQによって教育勅語を排除された後、根本的な価値観たる魂が抜け殻のまま、今日まで続いてきました。
その結果が教育の混乱と荒廃です。
今こそ、教育勅語に代わる精神的な支柱を、教育に打ち立てるべきではないでしょうか。
宗教アレルギーを乗り越え、教育勅語を越えた普遍的真理を内包する価値基準を打ち立てることが、政治と教育をめぐる混乱を収める唯一の道であると考えます。
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