年初より、マイナンバー制度の運用で問題が多数生じている。
今月18日から19日にかけて、マイナンバー制度の運用を担う地方公共団体情報システム機構が扱うシステムに障害が起こり、一部の自治体でカード交付ができなくなった。また、個人番号記載の通知カードの未封入などが相次いで起きていたことも分かった。
さらに、総務省の集計によれば、12日時点で全体の6.2%にあたる362万通がいまだ自治体に保管され、本人が受け取っていないことも分かっている。
本欄でも取り上げてきたように、マイナンバーの運用が始まってから、問題が次々と生じている状態だ。
実はこうした問題が生じるのは今に分かったことではない。
「住基ネット」失敗の教訓はどこへ?
"元祖マイナンバー制度"として2002年に取り入れられた「住基ネット」(住民基本台帳ネットワーク)は、昨年末に更新手続きが終わった。つまり、失敗だったということだ。
住基ネットとは、住民基本台帳の情報をデータベース化し、各市町村のデータをネットワークでつないだものだ。この住基ネットの利用範囲を広げ、民間にも活用することを前提とした制度が「マイナンバー制度」であるともいえる。
この住基ネットには、2002年から毎年130億円が使われ、13年間で2100億円。自治体の初期費用・維持費用も合わせると1兆円近い税金が使われた。
しかし、住基ネットは、十数年経ってもカードの普及率は5%ほどにしかならず、国民に浸透することなく昨年終了した。
この、1兆円近い税金のムダ遣いについて、誰一人として責任を取っていない。
懲りずにマイナンバー制度を推し進めている
そして今回、「住基ネット」の失敗を国民の税金で尻拭いするかのごとく、名前を変え、利用範囲も拡大させ「マイナンバー制度」が取り入れられた。
マイナンバー制度にはすでに、2014年度当初予算も含めて2年間で2000億円超を投じた大規模予算も使われている。
国民の税金は血税である。
政府は、住基ネットの失敗には国民の民意が込められていることは受け止めるべきだ。それは、「監視・徴税強化社会はNO」という声に他ならない。
(HS政経塾 水野善丈)
【関連ページ】
「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」(幸福実現党ホームページ)http://info.hr-party.jp/2015/5007/
【関連書籍】
幸福の科学出版 『父が息子に語る「政治学入門」』 大川隆法著https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1441
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