行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

行政書士によるADRと成年後見、このままで大丈夫?

2010-06-11 19:46:49 | 行政書士のお仕事

 東京都行政書士会のみならず、各単位会でも次々とADR機関として認証されていて、一見明るい話題のようにも思えるですが、その実状ですがどうも、はてなマークが付きそうな現状にあるようです。

 今年の総会でADRセンター長が、もっと積極的に活用するようにと懇願していたように、残念ながら利用者が一向に増える兆しが無いのが現状のようです。

 理由は単純のように思えます。つまり、会員が積極的に利用しようとする傾向が全く無いからだと思うのです。

 例えば、少なくとも私は東京会のADRセンターを利用するようクライアントに勧めた事はありませんし、今のままではこれからも無い思うのです。

 その理由ですが、第1にADRの対象となる事案が一部分に於いて限定的だからです。特に外国人絡みの事案では極めて限定的であって、誠に使い勝手が悪い印象があります。

 第2には、仮にクライアントに勧めたとしても、仲裁機関として本当に機能するかどうかについて大いに疑問があることです。加えて、仲裁機関としての実績も無いのに下手に客先に紹介して不評を買ってしまった場合、逆にクライアントの信頼を失う恐れがあるので、現状では到底勧められません。

 第3として、1回4,500円?と安い費用で済むといっても、何回もかかるようであれば、かえって調停の方が安いと思われるからです。

 そして最も大きな理由であろうかと思われる第4の理由ですが、家裁や簡裁の調停ならば、通訳人やら利害関係人として同席できますが、ADRの場合は、おそらく同席さえさせて貰えないと思われることです。加えて、仮に同席させて貰ったところで、口出すことを禁じられて黙っていることを要求されることが想像されますから、対顧客に於ける自らの存在意義がまったく無くなってしまうのです。

 以上の理由から、大多数の東京会会員は、おそらく今後も東京会のADRセンターを利用しようとしないしでしょうし、紹介もしないではないかと思います。

 かといって、このままで放置するワケにも行かないと思います。

 そこで敢えて解決策を提言するのであれば、先ずはADRを利用したり紹介したりする各会員に対して具体的なメリットが見い出せる何らの方策やシステム変更策を会として真剣に考える必要があると思います。これが見い出せなければ、会員から紹介されるADR利用者数は一向に増えないと思います。

 とにかく、このままでは下手をすれば、行政書士会のADR機関は、本当に絵に描いた餅、場合によっては単なる金喰い虫で終ってしまう可能性もあると思います。

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 次に、成年後見に関しては、他士業に比して圧倒的に出遅れた感があります。

 例えば、任意後見制度を悪用した事件が多発しているようですが、この任意後見制度の最大の欠点である任意後見監督人を設けない場合の被後見人の大きなリスクを理解(実は、私もこの問題点をつい最近まで知りませんでした。)している同業はいたって少ないのです。逆に、その欠点を知っている悪質な同業が出没しそうな気さえします。 

 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kiban/sodan/kouken/kouken_kakki/index.html

 それにしても、東京都福祉保健局ホームページ上で、専門家に相談するようにと記載して勧めている士業等の団体ですが、弁護士会、司法書士会、税理士会、社会福祉士会、東京公証人会、家庭問題情報センター、法テラスであり、行政書士会の名前が無いのは誠に以って残念なことです。

 どんなに一所懸命研修を積み、能力担保があると叫んでみたところで、世間一般の方々から見向かれることは難しいような気がしますが・・・。

 ならば、先ずは実績作りとして、菅総理が所信表明演説で述べていたようなパーソナルサポーターとして、東京会の責任の下で一人暮らしや外出が困難な高齢者世帯を対象とした、我々の専門分野である行政手続の無料ボランティアを始めてみたらどうかと思うのです。

 こういった社会貢献の延長線上に、もし任意後見やら法定後見、或いは遺言・相続までに発展するようであれば、それはそれで万々歳でありましょうが、仮に効果がまったく無くとも、行政書士の社会的なイメージ向上には少なくとも寄与できると思うからです。

 勿論、たとえボランティア活動と言えども、必ず二人一組で行って、更に別の第三者的なスタッフからクロスチェックを受けるなどして、絶対に事件や事故を起こさないような万全の態勢で臨まなければならいことはいうまでもありません。

 こうして、数年かけて国民からの行政書士への信頼が積み上がって来れば、自ずと道は開けて来ると思うのですが・・・。

 今のまま、いくら社団法人を設立しようが、またいくらスポットCMを流そうが、根本的な問題である、市民から自然と沸き上がってくる信頼や要望を得られることが出来なければ、おそらく未来永劫に、先を越されている士業団体を上回るような社会的な信頼を得る夢は叶わないと思うのです。

 地道な社会奉仕活動を続けることによって、社会的な信頼を一つ一つ積み上げて行く事無しに、はい!研修受けてます。ご依頼下さい!いくら叫んてみたところで、誰が簡単にハイそうですかと依頼してくれるでしょうか。そんな機関や人達は極めて少ないと私は思うのです。

 ADR仲裁人研修やら成年後見人研修やらを長い長い期間勉強され、時間とお金を掛けて研修に費やした同業の若い方々をこのまま見殺しにしてゆけば、それこそ窮して得体の知れない連中に利用されて事件に巻き込まれる潜在要因となる危険性も大いに孕んでいることも、また別な意味での心配の種です。このような事態に発展するような事件が起こらないことを心より願う次第です。

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