行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

勉強不足の同業者の意見に呆れる!

2015-11-08 00:24:19 | 行政書士のお仕事
 夫婦で別々の姓を名乗ることを認めない民法の規定は、

 憲法が保障する「婚姻の自由」を侵害しているなどとして、

 5人の男女が国に損害賠償を求めている最高裁大法廷の弁論

 について述べた同業者の意見のレベルの低さに呆れた!

 
 そもそも、夫婦別姓の選択権は、実は実務上では

 既に一部の日本人女性に認められているのだ!

 それは、外国人と婚姻した日本人女性である。

 在留資格や渉外戸籍等の国際業務に従事している

 行政書士ならば、誰でも知っていることであるが、

 敢えてここに書いておこう!

 例えば、ロバート・スミスさんと結婚した山田花子さんという

 日本人女性がいたとしよう。

 山田花子さんは、日本人であるから、スミスさんとの婚姻により、

 自らを筆頭者とする戸籍が新たに編成される。

 そして、スミスさんとの婚姻により、スミス花子としても良いし、

 山田花子のままでも構わないのであり、

 その姓の選択権は6ヶ月間あるのである。

 また、離婚した日本人女性は、そのままの離婚した夫の姓を

 引き続き名乗ることも出来るし、婚姻前の旧姓を名乗ることも

 6ヶ月の間出来る選択権がある。

 しかし、なぜか日本人女性が日本人男性と婚姻した場合に限り、

 一切の選択権が無く、夫の姓を名乗る制度になっている。

 尤も、日本人夫が婿養子や妻の戸籍に入れば、

 日本人妻の姓を名乗ることもできるが、

 これは旧家督制度の名残なのであり、

 今度は夫の姓の選択権が無くなってしまう。

 戸籍とは、そもそも家族単位の登録制度であり、

 戦前では筆頭者ではなく、「戸主」が居て、

 その戸籍家族の中には、弟や妹や孫までも

 同一家族単位の一員として記載されていたのである。
 
 さすがに、戦後はGHQの指導により、現在の一家族単位の

 戸籍制度に改められたが、戦前の戸籍制度では、

 家督といって、家を継ぐという家単位の封建的制度だった。
 
 その旧制度を最後まで引きずっていた韓国は、

 日本統治時代から引きずっていた戸籍制度を

 最近、全面的に廃止したことは記憶に新しい。

 私個人としては、今の新戸籍制度に寧ろ賛成であり、

 姓についても、夫の姓とすることに基本的には賛成である。

 但し、選択権は保証されるべきだと思っており、

 子供の姓についても、夫婦別姓の場合には、

 予め、夫側の姓とするか、妻側の姓とするかを

 定める規定にすれば良いのである。

 ちなみに、外国人と婚姻した日本人女性で、

 夫の姓を選択しなかった場合には、その子供の姓は、

 戸籍の関係で妻の姓が付けられる。

 但し、夫の本国法でその国籍が自動的に認められる

 場合には、夫の姓が付けられることから、

 22歳までは、複数の姓を保つことになる。


 一方、海外では、日本のように夫の姓に変える国も多々あれば、

 夫婦別姓が普通である国(中国や韓国)も多々ある。
 
 また、ハビエル・ペレス・デ・クエヤル元国連事務総長

 のように、父母双方の姓を使っている国では、

 本来の氏はペレス事務総長であるのに、母方の名字

 デ・クエヤル事務総長と国際的に名乗っている例もあり、

 このような事から、姓の選択権はあるべきだと思っている。


 以上のように、実務例や海外の事例を以て、

 行政書士たる実務家は、姓の選択権について

 自らの意見や主張を述べるべきであるのに、

 某地方の行政書士は、自身の政治思想のみで、

 自らの主張と意見を述べていることに、

 行政書士としての勉強不足を露呈しているととも、

 同業者としては、その無知蒙昧さと低俗さに

 唯々呆れてしまったのである!

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コメント (3)
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