”G線上のアリア”、この曲がヴァイオリンのG線のみで演奏可能なことでこう呼ばれるようになった事はあまりにも有名な話しだ。
http://www.youtube.com/watch?v=Ha-IJi1UVGo
ところで、もう昔のことではあるが、
私はこの曲をラジカセに録音して、
母の納骨時にBGMとして流したのだった。
それは、このG線上のアリアがTVで流れていた時、
亡き母が突然、
「若杉小学校の先にある家に最初に住み始めた頃の話だけどね。引っ越し当時、(父が)僅かな身の回りの衣類を詰めた柳行李とヴァイオリンケース、そしてこのG線上のアリアのレコードを担いで、荻窪駅からの道を歩いてやって来た姿を今でも覚えているわよ。若かったわね!」と、
母が懐かしそうに話していたことを思い出したからだった。
老父は音楽家などではなく、単なる研究者・エンジニアであったのだが、物理や数学をやる者は弦楽器をたしなむことが流行していた時代でもあったらしいのだ。それに、教員の妹はピアノを、家を継いだ弟はアコーデオンを嗜むので、多少の対抗意識はあったのかもしれない。
ちなみに、このレコードとヴァイオリンは、その後生まれた長男である悪戯小僧の私に、無残にも砕かれてしまったので、残念ながらこのレコードを音源として聞いたことは一度もなく、また、老父がヴァイオリンを奏でる姿さえも一度も目にしたことはなかったのである。
このG線上のアリア、母の話を聞いて、
「えっ・・・、オヤジが!!! 格好いいじゃん!」と、
思わず唸った高校生だった頃の事が
つい昨日の事のように思い出される
私にとって思い出の名曲でもあるのだ。