Immigration Lawyerとして、International Bar Association (国際法律家協会)のメンバーでなっている中井正人先生と東京都行政書士会の広報部員であり、品川支部副支部長の武田敬子先生のお二人が代表を務めるイミグレーション・ロー実務研究会の第2回勉強会に参加してみました。
実は、不純な私は、この勉強会の中身よりも、そのあと行われるオーストラリアワインとおつまみが僅か1,000円で楽しめる懇親会を楽しみで伺ったのでしたが。ところが・・・。
オーストラリア移民法がご専門の名古屋大学の浅川先生や日本で唯一オーストラリア移民手続資格(Migration Agents)をお持ちのピーター・フィリップ氏(日本語達者で、イケメンです!)などの専門家ゲストも参加されて、想像を遙かに上回る有益なお話が聞けたのでした。
今回のテーマは、移民法では世界で最も進んでいると言われているオーストラリアの移民法の概要について、オーストラリア大使館領事部に9年ほど務められ、今現在オーストラリアVISAコンサルタントをされていらっしゃる足利弥生さんにお話しを伺いました。
なかでも、特に興味深かった事は、永住ビザに於けるポイント制度とアメリカのESTAの原型とされているインターネットによるビザ申請システムETAの話でした。
日本でもポイント制を導入すると、法務省は数年前から明言はしていますが、どのような形で導入されて行くのかというイメージが中々湧かなかったですが、年齢によるポイント(Age ranges poits :25~32歳が最大の30ポイントで45歳以上はポイント無し)、勤務年数ポイント、教育レベルポイント(Educational qualification)などや、国家が必要とする職種(Skilled Occupation List)に従事している者へのポイント、過疎地で就労する者がポイントを得られる仕組み(State or Teritory nomination and designated area sponsorship)などで構成され、その緻密で国家戦略を反映させた日本では到底及びもつかないような先進的な移民法の仕組みに大変驚かされました。
また、オーストラリアでは電子申請が主流になっているだけでなく、旅券に貼り付ける査証さえも既に廃止されており、認証付きの許可証PDFファイルのみであることも驚きでした。
勿論、英米系の移民法であるオーストラリアと外国人の在留活動許可に主眼を置いて移民という考えが基本的には無い日本の入管法とは単純比較はできませんが、国家の人口バランスの為の一つの重要なツールとしてオーストラリア移民法が人口構成に至るまで踏み込んでいるのを目の当たりにして、法務省が数年以内に提案して来るであろう改正入管法について、ある程度その骨子を想像する事ができたのは予想以上の大収穫でした。
来年から現行の外国人登録証に代わって、入管局発行の在留カードの導入から、おそらく徐々に進むであろうと想像されるインターネットによる電子申請についても、移民政策先進国であるオーストラリアの動向を、法務省は必ず参考にするであろうと思いました。
来年1月16日には、日本がもっとも参考にするであろう思われるアメリカ移民法の勉強会もこのイミグレーション・ロー実務研究会で始まります。本邦入管法の未来像を予見するためにも、当面この研究会が行う勉強会から目が離せません!
ちなみに、ワインに目がない私は、一人でスパークリング、白、赤、ロゼとワインすべてを味見(おそらく総量で1本以上?)した挙げ句、各種チーズもたっぷり頂いて、雨の中を千鳥足で帰宅したことは言うまでもありません。