一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「やすらぎ」の騒動

2009-03-18 | あきなひ

なんか穏やかでない適時開示がありました。

調査委員会設置に関するお知らせ
(平成21年3月17日 株式会社やすらぎ(8919 名証セントレックス))

平成21年3月16日付けの「外部調査委員会設置に関するお知らせ」については前代表取締役社長が独断でリリースしたものであり、その後、その委員会構成等について前代表取締役社長の決定は当社取締役会で承認されず、改めて当社取締役会にて下記のとおり、社外取締役及び社外監査役をメンバーとした調査委員会を設置し、調査及び確認を進めることを決議いたしました。

遡って調べてみると今年の2月くらいからの話のようです。

代表取締役の異動に関するお知らせ
(平成21年2月13日) 

経営体制のより一層の強化を図るため、代表取締役を2名体制とするものであります。 

ということで須田力氏が取締役から代表取締役に就任。

主要株主の異動及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ
(平成21年2月25日)

・ Prospect Asset Management, Inc.より平成20 年12 月24 日付大量保有報告書等の提出により、須田忠雄が新たに主要株主である筆頭株主に該当するとともに、
・ 平成21 年2月23 日付でProspect Asset Management, Inc.から須田力への株売却に伴い、須田力が新たに主要株主に該当することとなりました。

これによって持株比率はつぎのようになりました。(訂正後のリリースの数字によります。)
    (従来)       (将来)
プロスペクト 20.20% → 10.98%
須田忠男   19.42% → 17.52%
須田 力    7.92%  → 17.10% 

須田忠男氏はやすらぎの会長です。 
ここで須田忠男氏と力氏の保有株数の合計で34.62%と1/3を超えていることをチェックしておきましょう。 
金融商品取引法のTOB規制では、特別関係者と合算した保有割合が1/3を超えることになるような市場外での株券等の買付はTOBによらあなくてはいけないことになっています。 
ちなみに1親等以内の血族は特別関係者になること(同法施行令9条1項)、平成20年1月期の有価証券報告書によると、忠男氏は昭和21年生まれ、力氏は昭和44年生まれで親子なのかなぁ、というあたりもメモしておいて先に進みます。

そして
代表取締役の異動に関するお知らせ
(平成21年3月9日) 

現代表取締役の根岸宏之が平成21年4月15日の定時株主総会をもって退任し、須田力氏が代表取締役執行役員営業企画担当から代表取締役社長になることが内定しました。

これも定時総会での社長交代なので普通といえば普通です。  

ところがこのあとに冒頭の開示で言及された「独断のリリース」が出ます(これは会社のHPのIR情報からは削除されています。)。  

外部調査委員会設置に関するお知らせ
(平成21年3月16日)  

当社取締役会は、平成21年3月10日付けにて、常勤監査役の連名により、法令、社内規程に違反する行為等について詳細な社内調査を行うよう意見書の提出を受けました。決算訂正の可能性に関する事案も含まれており、社長を委員長とする社内調査委員会を設置し、調査及び確認を進めることをお知らせいたします。 
一部の取締役が関与している可能性があることから、第三者の立場より、社内調査委員会による調査範囲および方法、調査結果についての検証、ならびに事象発生の原因究明、および再発防止策の策定についての提言などを行なっていただくため、当社グループと利害関係のない弁護士、公認会計士の3名で構成する社外調査委員会を併せて設置することといたしました。既に、平成21年3月13日付けで下記の構成委員の方々に委嘱し、調査の開始をお願いしております。調査期間は概ね3ヶ月とし、調査の内容及び中間報告等も含め、速やかにお知らせいたします。  

そしてこの翌日、冒頭のリリースと同日付で、定時株主総会を待たずして根岸氏は代表取締役を解任されてしまいます。
代表取締役の異動に関するお知らせ
(平成21年3月17日)  

平成21年3月16 日開催の取締役会にて根岸宏之の業務執行が不適切であると判断したための解任決議によります。これを受けて当社取締役会は代表取締役の須田力を社長に選任し、同人が直ちに代表取締役社長に就任しました。

ちなみに3月10日に連名で意見書を出した常勤監査役は2名(共に昭和19年生まれ)で、麓氏は警察OBで平成16年に監査役就任、斎藤氏は両毛システムズ(地元企業?)から平成16年に入社し平成20年に監査役に就任した人です。  

また、今回新たに設置された調査委員会のメンバーは以下の通りです。
委員長    社外監査役 土井 充(公認会計士)
副委員長  社外取締役 木村 裕(弁護士)
委員      社外監査役 熊谷 聖一(日本経営合理化協会専務理事)
委員     社外取締役 カーティス・フリーズ(プロスペクト・アセット・マネジメントCEO)
調査期間は約1ヶ月となっています。   


さて、常勤監査役から指摘のあった「法令、社内規程に違反する行為等」って何なのでしょうか?


大株主の異動に関することであれば、その当事者でもあるプロスペクト・アセット・マネジメントのCEOのカーティス・フリーズ氏が調査委員になることは(普通は)ないはずですよね・・・
また、委員長の土井氏はシグマ・ゲイン(株)の監査役もつとめていますがこんな会社だったりします。
一方の解任された根岸社長もIPO直後の平成17年にKOBE証券から移ってきた人だったりするので、内紛としても役者がそろっている感じです。  



大株主の異動に話を戻します。


上のリリースによると株式の異動はこんな感じです。

1月20日 プロスペクト17.49% 忠男20.26% 力7.85%
2月23日 
Prospect Asset Management, Inc.が保有する株式の一部を当社の代表取締役である須田力が取得(取引A)
     プロスペクト10.98% 忠男20.26% 力14.37%
2月24日 
当社取締役の須田忠雄が保有する株式の一部を当社の代表取締役である須田力が取得(取引B)
     プロスペクト10.98% 忠男17.52% 力17.10%

取引Aの時点で忠男+力の合計が1/3超になります。
取引AはTOBによってはいないようですので、これがTOB規制違反にならないためには
① 取引Aが市場内取引である 
ところが、市場内での取引ならそもそも売り主は特定できないはずなので、市場内取引にはあたりませんね。(出来高をみても市場内ではなさそうです。)
② 忠男と力は特別関係者でない 
親子なら形式基準でアウトです。
もっともたとえば叔父と甥の関係ということなら形式基準にはあたりませんが、実質基準「株券等の買付け等を行う者との間で、共同して当該株券等を取得し、若しくは譲渡し、若しくは当該株券等の発行者の株主としての議決権その他の権利を行使すること又は当該株券等の買付け等の後に相互に当該株券等を譲渡し、若しくは譲り受けることを合意している者」(金融商品取引法27条の2 7項2号)にもあたらない必要があります。
ただ、同じ取締役でしかも取引Bが取引Aの翌日に行われたとなると、少なくとも上の「又は」以降には該当しそうですね。  


なんかモロに「こういうのはダメです」という事例のように思うのですが、大丈夫なんでしょうか? 
でもさすがに正々堂々とリリースしているわけですから、なにか根拠があるんですよね。
TOB規制は複雑なので、素人が見落としている例外があるのかもしれません。何か気がついた方がいらしたら教えていただければと思います。

コメント (3)
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エスグラント民事再生

2009-03-18 | あきなひ

相変わらず毎月最低でも1件はマンションデベロッパーが倒産するという記録が更新されています。  

民事再生申立自体は先週の話ですし、私はエスグラントという会社自体投資用ワンルームマンションのアグレッシブな勧誘で成長した会社という程度の認識しか持っていなかったのですが社長は20代で創業して2年(48か月と2日らしい)で上場を果たしたとして若手企業家として有名だったようです。 
でも、これほどのの短期間で上場するということは、ターゲットにする市場を選ぶ(名証セントレックス!)だけでなく、最初から「上場審査基準をクリアするような会社を作る」ことを目標にしていたのではないでしょうか。 
それはそれでひとつの起業戦略(実際にそうだったのかどうかは知りません)だとは思いますが。

でも、倒産後にエスグラントコーポレーションのHPを見て「IR情報」→「IRライブラリ」を開くと「このページは運用されていません」といきなり出てしまうのは上場廃止しちまったら関係ねーや、という雰囲気が出ていていかがなものかと思います。 
倒産に至ったことは今更どうしようもないのだから、潔くしていてほしいところですね。
社長もまだ若いんですから。  

で何か情報がないかと検索して見つけたのが目黒で働く社長のアメブロ  
2008年4月1日のエントリが最後になっています。  

この度、当社エスグラントコーポレーションはユニマットグループとの資本、業務提携を行いました。  
今回を持ちまして、私のブログを一旦休止とさせて頂きます。 
これに付きましての主な理由はユニマットグループに入った以上一つは節目、一つはケジメとしたいという事です。 

現在の株主構成は以下のとおり。

杉本宏之(社長)                                 20,418 20.9%
(株)ユニマット不動産                            15,787 16.2%
高橋洋二(ユニマットグループのオーナー)  8,961  9.2%
(株)ユニマットホールディング                    6,826  7.0%
(株)ユニマットライフ                                 6,826 7.0%

ユニマットといえばこのブログで以前話題にさせていただいて(こちらこちら参照)、昔のエントリにもかかわらずアクセスやコメントを細く長くいただいております。
特に初代のオーナーの「シグ片山」で検索するとトップに来るようで、ゆかりの方のコメントを数多くいただいていて、これもブログの一つの役割かと認識を新たにしています。

さて、ユニマットグループオーナーがシグ片山氏から高橋氏に変わってからは、消費者金融事業をシティグループに売却したり、オフィス用コーヒーマシン事業にJTの資本を入れたりして巧みに時代に乗っているという印象がありましたが、今回は目論見がはずれたようです。 
でも、ひょっとすると、自ら既に投資用に仕入れていた物件をエスグラントに売ったり、同社の営業力を使って個人に売ったりして元はとっているのかもしれません(全くの憶測ですが)。 そのあたり、またツッコミどころがあればふれてみたいと思います。

コメント
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