一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『外交的思考』

2012-11-03 | 乱読日記

北岡伸一氏のForesightなどへのエッセイをまとめたもの。
こういう本を読むと、きちんとした専門家って必要だよな、と思います。

「北岡伸一」で検索すると、あらあら・・・という感じの評価というかレッテル貼りが出てくるんだけど、現実的な主張や、ブレーンやエリートの育成・活用の重要性を説くあたりが原因なんだろうか。
「現実主義」といっても、それは「足して二で割る」スタンスではなく、原理主義・教条主義にとらわれずに思考を深めた結果なんだと思うし、 またブレーンの重要性を説くと、御用学者とか言われたり、そういうプラットフォームを持っている欧米の社会システムを評価するからそっち寄りと見られるのかもしれない。

・・・とくに安全保障の分野では、完全を求めすぎて、国益を損なうことが多い。「完全は次善の敵」という言葉がある。細部にまで完全無欠を求めるあまり、大きな決定が出来なかったり、タイミングを逸したりすることが少なくない。
・・・集団的自衛権の問題でも、武器輸出三原則の問題でも、かつての防衛費=国民総生産(GNP)1%問題でも、少し従来の政策を超えかけると、周辺国の懸念とか、憲法に抵触する「おそれ」が指摘される。こういうときはどういう「おそれ」がどれほどあるか言うべきである。これらについては、いずれもメリットよりずっと多いと私は考えている。ほとんど存在しない「おそれ」で日本は自らの手を縛って国益を損なっている。

戦後日本で国益と言う言葉が使われなくなった結果、はびこったのは省益であり部分益である。
・・・法科大学院の再検討において、弁護士が増えすぎて職がなくなるなどの議論がされている。しかし、国民のために良質な法律家を生み出すことが国益なのであって、その観点からの議論が十分ではない。これらの議論で共通するのは、利害関係者の間で議論がなされていることである。関係者の利益不利益は、国益の基準によって吟味されなければならないと考える。

 僕は、こういうものの考え方は好きだけどな。


 

コメント
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