著者のブログはかなり前から愛読している。
個人的には同世代ということもあり、共感したり、なるほどと気付かされたり、自らの怠惰を反省させられたりと面白い。
本書はそのブログの記事などもベースに、「起業」という切り口での著者の考えをまとめたもの。
ビジネスに対するときの「構え」と「引出し」の両方で役に立つところ大だと思う。
「構え」について著者は「よく見て、どこでもやる」と一言でまとめている。
新しいビジネスをつくるには、まず、様々な角度から、業界の既成概念にとらわれず、先入観を持たずに現実、現場をよく見ることである。そして、どこにいようとも、いろいろなアイデアを出し、たくさん検討し、実行する。チャレンジしなければ何も始まらないし、何も得られない。それもやりつつよく見て、見つつよくやる。見て学ぶことばかりに関心が向いていても、実行ばかりに気がはやっても、いいビジネスはつくれない。見ることと、やることを同時にやらなければ、価値ある経験にならないし、よりよいビジネスにならない。
そして、「構え」とともに、いざ現実に直面した時にさっと対応できる「引出し」についてはブログで好評だった話も含め、著者が経験から得たさまざまなノウハウがたくさん載っている。
オジサンとしてはなるほど、と膝を打つところも多いが、これから経験をする若い人にとっても、経験という中身の受け皿として、まだ空でもいいからこういう引出しを用意しておくのは役に立つと思う。
自分の経験が引出に合わなければ、そこで「引出し」を自分なりに変えていく、というのが大事なんだろうと思う。
などと偉そうに言う前に、横着をして普段よく使う引出しを限定してしまって他の維持更新追加を怠っている自分こそ、見習わないといけないのだが。