一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

総合型厚生年金基金の危機

2009-05-29 | あきなひ

『だまされないための年金・医療・介護入門』では少子高齢化の中での国の年金制度の問題点が指摘されましたが、業界などで作っている総合型の厚生年金基金はいちはやく破綻の危機が迫っているということを表しているリリースです。

厚生年金基金脱退に伴う特別損失追加発生のお知らせ
(平成21年5月28日 株式会社タムロン)

平成20 年12 月25 日付「厚生年金基金脱退に伴う特別損失発生のお知らせ」にて開示しましたとおり、すでに埼玉機械工業厚生年金基金から脱退することを決議し、平成20 年12 月期において、同基金からの通知に基づき、11 億49 百万円を厚生年金基金脱退損失引当金繰入額として計上いたしました。しかしながら、基金の運用状況の悪化、および同基金規約の脱退時特別掛金の算出方法が変更されたことにより、脱退時特別掛金が22 億80 百万円に増額となり、脱退時期も6 月末日に変更となりました。大幅に金額が増額となるため、慎重に対応を協議してまいりましたが、以下の理由から同基金を脱退するとともに、当社独自で確定拠出年金制度を導入する予定であります。

(1)総合設立型の厚生年金基金であるがために、上場会社として退職給付債務に関する情報開示が不十分であること。
(2)いまだに代行部分を抱えて運用している総合型基金のリスクは過大であり、かつ当社でコントロールできないものであることから、上場企業として排除すべきであること。
(3)ますます成熟度(加入員に対する年金受給者の割合)が高まっていく基金への加入の継続は、将来的に当社の経営に不測の悪影響を及ぼすおそれがあり、また終身年金制度を総合型基金が将来的に維持し続けることは困難であると判断したこと。
(4)すでに過去数年において、多額の特別掛金を支払い続け、さらに今後も長期にわたり特別掛金の負担が続く制度は、給付と負担が均衡しておらず、加入を継続するメリットを見出せないこと。
(5)加算部分の給付水準が低い総合型基金への加入は、従業員にとっても意義が薄いほか、大半の従業員が同基金から脱退し、確定拠出年金への移行を望んでいること。

基金側も脱退特別掛金を引き上げるなど脱退阻止に必死なようですが、かえって体力のある優良企業ほど「これはまずい」と脱退してしまうという悪循環になりそうです。

基金財政におけるタムロンの割合がどの程度かはわかりませんが、基金の破綻の引き金を引いたとは言われたくはない反面、一緒に沈むわけにもいかないので、苦しい選択だったと思います。

情報開示やガバナンスの問題にも言及しており、財政問題以外にも不満がたまっていたのかもしれません。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« お猿の駕籠屋 | トップ | ラーメンShow in Tokyo 2009 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

あきなひ」カテゴリの最新記事