一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

阿呆と煙は・・・

2004-12-24 | うろうろ歩き
フィレンツェ2日目
今日はちょっと早起きする。
街はクリスマスイブ。近くのサン・ロレンツォ広場には露天がずらーっと立ち並んでいる。皮製のバッグやスカーフ、Tシャツ、トレーナー、その他小物を扱っていて、何となく浅草仲見世風。
後で冷やかすことにして呼び込みをかいくぐり、歩みをすすめる。

最初の目的地はサンマルコ美術館ベアト・アンジェリコの「受胎告知」で有名。
ホテルから徒歩10分ほど。
フィレンツェの旧市街地は端から端まで2km四方程度ととにかくこじんまりした街なので、徒歩で十分。

途中「85セント shop」という日本で言えば100円ショップ(為替レートでいうとやはり100円くらいなのが笑える)があったので思わず入ってしまう。
中はクリスマスの飾りつけが半分弱を占めていて、かなり人気。そのほかの品揃えは日本のほうが充実している。やはり東南アジアが近くにあるのは強みか。

サンマルコ美術館は修道院を改装してそこの壁画ごと美術館にしたもの。
美術館にはいるとまずは中庭を囲む回廊に出る。
この静かな雰囲気だけでも十分に価値がある。
美術館としての規模はさほど大きくないこともあり、急いで回ろうという気分にもならず、ゆっくり落ち着いた気分で中庭を眺める。

実際の修道院の講堂などに描かれた壁画をみると、ルネッサンス絵画がこうやって発展したんだな、という実感がわく。

2階にあがる階段の踊り場を曲がると、いきなり正面に「受胎告知」が見えてくる。
色使いや人物の表情が不思議な優しさをたたえた絵。
こういう絵が、毎日通るであろう場所(2回は修道女の居室がある)にあるというのは大事なことなのだろう。

2階は天井がなく大屋根の屋根裏がむき出しのかわり、廊下を挟んで壁側の居室部分に天井がある、つまり大部屋の中に小さい蔵がいっぱいつながっている2重構造になっている。
したがってそれぞれの居室はけっこう天井が低い。広さは6~8畳くらいか。
それぞれの部屋の壁に絵が描かれていて、また、小さい窓からはフィレンツェの町並みや中庭が見える。
改装したときに出てきた床下の構造物も覗けるようになっていたり、壁画のレストアの様子を解説していたり(イタリア語だったので写真しかわからなかったけど)、細かいところで親切。

こころ休まる美術館でした。

つぎは徒歩3分のアカデミア美術館。出口は立派だが入り口はふと見落としてしまいそうなほど小さい。
ここはミケランジェロのダビデ像で有名、というかダビデ像の1発芸。

(特にウフィッツィを見た後では)他にとりたてて見るべき展示もないので、ほとんどの人(特に観光客)はダビデ像に一直線。
確かに圧倒的な存在感である。
旅行前に東京都美術館で見たフィレンツェ展で頭部のレプリカが飾ってあったが、それだけでもリアルさと表情の豊かさは群を抜いていた。
それが全身(15mくらい?)で立っている。
今にも動き出しそうな筋肉の表現など、さすがミケランジェロ。

で、ダビデ像の周りで15分ほどしげしげと見つめたり、椅子に腰かけてぽかんと見上げたりして、ここは終わり。

つぎはドゥオーモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ教会)。
本来はここを最初に、というのがフィレンツェ巡りの基本らしい。
大空間を擁した大聖堂というのはシンボルとなる教会の鉄則であるが、フィレンツェのドゥオーモは概観もフィレンツェ様式と呼ばれるけっこう派手目な外皮の装飾をほどこされていて、遠くからだときれいだが、近づくとかなりの圧迫感がある。

中に入ると大空間はそれだけで落ち着くし、厳粛な気分になる。
クリスマスイブなので中央部分にクリスマス礼拝用にイエスの誕生の人形の飾りつけがしてある。
裁断には礼拝用の飾りつけと参列者用の座席もあり、観光客は立ち入り禁止。
天蓋は裁断の上部にあたるので、その天井部分に書かれた「天国と地獄」の絵はちらっとしか見えないのが残念。

ここで一度外に出て、脇の入り口からドゥォーモのてっぺんに階段で登る。
約500段という階段は途中から小さく急な螺旋階段になり、目が回り、息が切れそうになったところで天蓋の内側、「天国と地獄」の絵の下端部分にある回廊にポコっという感じで出る。

ここから下の教会内部を見下ろしたときの達成感(まだ半分なんだけど)と天井の絵の迫力に、登ってきた人々は休憩をかねてしばし佇む。
毎日ここまで登って、しかも一日中上を向いて天井絵画を描き続けた人ってどんなひとなんだろう
、と素朴な感慨にひたっていると、後続が詰まってきたので先に進む。

最後の最後は手すりにつかまってよじ登るようにして外に出る。

「阿呆と煙は高いところに登りたがる」ではないが、街の中心から市内を一望できる眺望に苦労も吹っ飛ぶ。

となりのジョットの鐘楼のほうにも上に登って景色を眺めている人がいた。そっちもほぼ同じ高さ。鐘楼のほうがちょっと低いけどドゥオーモが見られるというメリットがある。まあ、両方登るのはやめにしておこう。

ベンチに腰掛け、しばし景色に見とれながら息を整えてました。
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