一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ラクダとロバ、金魚とどじょう

2011-09-23 | まつりごと
『バグダッド・バーニング』つづき。

フセイン政権が崩壊したあと、イラクでは、旧政権で反体制派だった主要7政党代表やイスラム教指導者・外交官など25人から成る統治評議会が発足します。
しかし最終権限は米国主導の連合国暫定当局が握り、評議会メンバーもイラクの実情を理解しない米国が選定したために機能していないし、毎月輪番制で各派から議長が出されるのは茶番だと著者は批判します。

イラクでは昔から、いろんな民族やイスラム教各宗派やキリスト教徒が共存していたのに、イラクを「民族と宗教で塗り分けられた小さな地域にモザイク状に分かれている」と考える米国が各派の代表を並立させたがためにかえって権力闘争を招いてしまったと指摘します。

以下が、その機能しない評議会の描写ですが、言葉を入れ替えると現在の日本にも共通するところが暗い気持ちになります。

…ワシントン・ポストが統治評議会に対する支持が落ちているという記事を載せているけど、当然のことだ。


「アメリカは、自らが選んだ評議会メンバーに非常にいらだっている。イラクの政治の将来を考えること…よりも、自分たちの政治的・経済的な利益を得ることに時間を割いているからだ、と関係者は述べた」


権力に飢えた人たち(なかには互いに戦争で敵同士だった人も)を一つの議会にまとめたら、間違いなく自分の利益を大きくしようとするだろう。自分の党のメンバーや民兵組織、身内を推して、将来のイラク社会での自分の権勢を確実にしようとするんだから。



わが国の「ノーサイド内閣」もモザイク度合いは似ている感じがしますし、あらかじめ決めていないのに輪番制のようになっているところは笑えません。大連立を考えるにも「大分裂」にならないことを切に希望します。


そして「どじょう宰相」をいただく身としてかんがえさせられるのがこちら。

アラブに有名なことわざがある。「ラクダもロバに混じれば速い」。"ろくでもない連中の中のましな部分"と見られる人が、こう言われる。カンバルとチャラビがINC(おそらく評議会全体でも)の中のラクダであるなら、いったいロバって誰よ?といいたい。
(注 チャラビは評議会のメンバーでINC(イラク国民会議)の議長。ヨルダンの銀行から数百万ドル横領し倒産させたかどで有罪判決を受けたが国外逃亡し、米軍と共にイラク入りして今の地位におさまった。カンバルは副議長。テレビ討論で相手に殴りかかったエピソードが紹介されている。)



どじょう内閣に金魚はいるのか、どじょう閣僚を集めたのか、はたまた民主党にはどじょうしかいないのか、どうなんでしょうか。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『バグダッド・バーニング』 | トップ | 『バグダッド・バーニング』続き »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

まつりごと」カテゴリの最新記事