一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「労働なき富」を得るにも努力が必要

2010-03-10 | あきなひ
昨日と同じく月曜の日経新聞ネタですが、更新料問題が取り上げられていました。


記事ではふれていませんが、更新料はすべて家主に帰属しているわけではない、というあたりに問題のやっかいさがあるように思います。

家主が地元の不動産屋にテナント仲介や賃貸管理を任せていたりすると、更新に当たって更新料の半分くらいを手数料として不動産屋に払うのが一般的です。
ここで、更新料を過去にさかのぼって返還せざるを得なくなった場合でも、不動産屋との契約は消費者契約でないので、不動産屋に払った分は契約上有効なので戻ってこないことになります。そうなると、家主のダメージはもっと大きくなります。

また、不動産業者に一括して貸していれば、更新料の返還義務を負うのは不動産業者なのですが、家主に支払われる家賃が「テナントから受け取る賃料・更新料etcの何%」などと決まっていると、遡って返せ、という要求も出てきそうです。
さらに、更新料が無効になると、不動産屋は賃料からの自分の取り分を増やせと言うでしょうから、将来的にも家主の収入は減ることになります。

家賃収入は「労働なき富」の典型なので鳩山政権では逆風になりそうですが、「労働なき富」を得るには何らかの外部の力を使わないといけないし、それには労力とかリスク(特に突出して不合理な契約を結ぶような同業者がいたときに「労働なき富」としてカテゴライズされてバッシングされるという存在自体への自己言及的なリスクもあります)が伴うということだと思います。


だからといって、僕は家主が気の毒だからと言う理由で更新料を有効にしろというつもりはないのですが、「更新料」(または「賃料以外の」)名目で徴収する金が一律に消費者契約法違反というのも理屈立ても難しいようにも思います。
そのあたりは最高裁判決に注目です。


PS
ところで、「貸金過払いの次は更新料」と弁護士業界の一部は意気込んでいると言う話を聞きます。
消費者契約法違反で無効となると法施行の2001年4月以後の分は返還請求の対象になるので、訴える側の弁護士にとっては「七面鳥撃ち」のような楽な作業になるというわけです。
でも、それもどうなんでしょうね。それこそ職業独占を認められている弁護士の「労働なき富」なんじゃないかとか(でも苦労して司法試験に合格したという主張がされると思いますが、鳩山首相のように相続でもしない限り「労働なき富」を享受するまでには何がしかの、いや一般的には相当な努力をしたはずです)いう話になりそうです。

そういえば(ご本人はそういう意図ではなかったでしょうが結果的に)貸金訴訟の油田を掘り当てた宇都宮弁護士が立候補している日弁連の会長選挙の再投票が今日ありますが、その結果も注目です。
(それまでは顧問弁護士が選挙活動で仕事にならなくて困ってるという会社もあるようですし。)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 書籍の電子化 | トップ | 見た目は中身を? »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

あきなひ」カテゴリの最新記事