褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 野菊の如き君なりき(1955) 純愛ストーリー

2025年01月24日 | 映画(な行)
 明治の歌人であり小説家である伊藤佐千夫の『野菊の墓』を原作として映画化したのが今回紹介する野菊の如き君なりき。俺は原作を読んでいないのだが、あの文豪夏目漱石が絶賛。明治時代が背景ながら昭和生まれの自分でも感動できる純愛ストーリー。ちょっとばかり凝った映像技術と話法を駆使した作品としても知られている。
 
 古き因習によって引き裂かれる恋愛を描いたストーリーの紹介を。
 何十年ぶりかで故郷へ帰ろうとしている75歳の老人(笠 智衆)が60年前のことを回想する。
 十五歳の政夫(田中晋二)の母(杉村春子)が病気がちのために、母の姪っ子で17歳の民子(有田紀子)が家の手伝いに来ていた。正夫と民子は小さい頃から仲が良いいのだが、そのことは周囲からは好奇の目でみられることになる。
 祭りを明日に控えた日のこと。正夫と民子は母の言いつけで、山の畑へ綿を取に行かされる。2人っきりになった正夫と民子はお互いを意識し始めるようになってしまうのだが・・・

 殆どのシーンを占める回想シーンにおいて、周りをぼやけさせた楕円形の中で映像が流れるという形式がとられている。しかしながら、画面の幅が狭くなっただけで逆効果になっているように思う。そして、場面が変わるごとに短歌が流れるのを、笠 智衆があの訥々とした調子で読み上げる。これも良いのか悪いのか判断に迷うところだ。
 しかし、正夫と民子の2人が素人俳優っぽいやりとりを見せるのだが、これはかえって新鮮な感動を呼ぶ。この2人が周囲にからかわれる理由が、女の民子の方が2歳年上だから。このことが2人の関係の障害になるのだが、明治時代の恋愛観に少々驚いた。従姉弟の関係だというのも恋愛の障害になっていると思われるが。
 そして、恋愛のエピソードとして効果を発揮するのがタイトル名にもあるように、正夫が民子を野菊に例えること。女性を花に例えるとはダサいと思ったが、どうやら俺の勘違い。これはナンパのテクニックに活かせそうだし、実際にこのことが2人の関係を恋愛に発展させた名場面でもある。
 2人のお祖母さん役にあたる浦辺 粂子の民子を思いやる気持ちも優しさにあふれていて感動させる。しかも民子に訪れる悲劇的運命をより劇的にしている。そして何よりも良いなあ~と感じさせるのが、60年を経てもあの時の事が忘れられない老人の心境。これは胸が熱くなる。
 古き日本の風景の良さがモノクロの画面を通して活かされているし、ずっと響いている音楽も禁じられた遊びを思い出させるようにストーリーに役立っている。なかなかの感動物として今回は映画野菊の如き君なりきをお勧めに挙げておこう

 監督は木下恵介。彼の代表作と呼べる二十四の瞳は流石は名作だと思わせます

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