褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 処女の泉(1960) 神の存在を問いかける

2013年02月18日 | 映画(さ行)
 祈っても、祈っても不幸な事が次々と起こってしまう。本当に神様は我々を見守ってくれているのか?そもそも神様って本当に存在するのか?もっと深い信仰心が必要なのか?それとも、さっさと改宗してしまおうかそんな大きな悩みを抱え込んでしまった人達に、一筋の希望の光を与えてくれる映画が今回紹介するスウェーデン映画の処女の泉だ。
 俺みたいな聖人君子のような人間ははるかに少なく、普通の人間ならば大なり小なり罪を背負って生きている。そんな罪の意識に苛まされている人々にとっては、本作品のラストシーンの奇跡に、力強いメッセージを感じ、更には勇気と力を得ることができるはずだ

 スウェーデンの田舎が舞台。豪農の主人であるテーレ(マックス・フォン・シドー)の一家は非常に敬虔なキリスト教。しかし、テーレ家で召し使いとして雇われているインゲン(グンネル・リンドブロム)はキリスト教にとっては異教徒である北欧神話の主神であるオーディンを信奉している。
 ある日のこと、伝統行事としてテーレ(マックス・フォン・シドー)はとても可愛がっている一人娘であるカリン(ビルギッタ・ペテルソン)を教会へローソクを捧げに行かせるが、そのお供としてインゲン(グンネル・リンドブロム)を付けさせる。
 教会への道中でカリン(ビルギッタ・ペテルソン)とインゲン(グンネル・リンドブロム)は言い争ってしまい、2人は別れてしまう。一人ぼっちで教会へ行くことになったカリン(ビルギッタ・ペテルソン)は途中で薄汚れた3人の男と出会う。とても親切なカリン(ビルギッタ・ペテルソン)は持っていた食料を男たちに与えるが、そんな彼女に欲情した男たちはカリン(ビルギッタ・ペテルソン)を強姦した後に殺してしまう。
 その一部始終をインゲン(グンネル・リンドブロム)はこっそりと見ていたのだが、彼女はカリン(ビルギッタ・ペテルソン)を助けようとはしなかった。

 カリン(ビルギッタ・ペテルソン)を殺した3人の男たちが、その夜に泊まった所は偶然にも彼女の家であるテーレ家。テーレ(マックス・フォン・シドー)は3人の男たちが、愛する一人娘のカリン(ビルギッタ・ペテルソン)を殺したことに気付いてしまい・・・

 本当に救いようの無いストーリーだが、そんな中にも名作といわれる映画がそうであるように多くのテーマが内包されている。宗教、伝統、復讐、贖罪・・・そんな多くのテーマを通して、観ている我々は神の存在の意義を大いに考えさせられるのだ。
 映像を通しても目を見張るシーンが多く、カリン(ビルギッタ・ペテルソン)が強姦されるシーン、テーレ(マックス・フォン・シドー)が3人の男に復讐を遂げるシーンで、その内の1人を炎の中に放り投げるシーンには驚いた。
 そしてテーレ(マックス・フォン・シドー)が復讐を遂げる前に、身を清めるシーンがあるのだが、まるで武士道を感じさせる。このシーンが1つあるだけでキリスト教を敬虔する者の覚悟が見事に表われている。

 人間のむき出しのエゴ、罪無き人間が殺されることに対する神様の沈黙には絶望的になりますが、悲惨な展開の後に待っている奇跡によって観ている我々の心が癒される処女の泉は、見所満載のお勧めです

処女の泉 [DVD]
マックス・フォン・シードウ
ハピネット・ピクチャーズ


 監督は本国スウェーデンのみならず、世界的に巨匠として知られるイングマール・ベルイマン。その作風は宗教的テーマが多く難解とか言われるが、映像を通しての迫力は決して退屈させることはありません。個人的には本作品の処女の泉が今のところ最も好きな作品です。
 彼の映画で他にお勧めは老教授の名誉の裏にある深い悲しみ、罪悪感を心象的に描いた野いちご、死神に取り付かれてしまった男を描いた第七の封印、名女優イングリッド・バーグマンの遺作でもある秋のソナタあたりです。

 主演のテーレを演じるのが今でも大ベテランとして多くの名作、大作に出演するなど活躍中のマックス・ファン・シドー。彼の作品のお勧めはピレ・アウグスト監督のペレ、スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演のマイノリティ・リポート、本作品と同じくイングマール・ベルイマン監督の第七の封印が良いです。

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