褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 攻撃(1956) 戦争映画ですが・・・

2017年09月19日 | 映画(か行)
 戦争映画において弾丸が降り注ぐ戦闘シーンを期待する人が多いかもしれないが、本作は戦闘シーンよりも人間同士の争いに比重を置いた映画。軍隊内の対立が非情なタッチで描かれており、そこには甘ったるい感傷的な気持ちが入る余地がない。
 次々に味方を犠牲にしてしまう小心者で卑怯な上官と、正義感が強く仲間想いの部下の対立が主に描かれているが、もう一人私利利欲にまみれたトップクラスの人間が登場する。
 無能でもコネさえあれば自分の能力以上に出世し、真面目に働く人間はいつも出世のために利用される。本作に描かれる世界は何も軍隊だけに限らず、我々の社会でも思い当たるような事が描かれている。

 女性が1人も出てこないのでお色気には欠けるが、そんなことはまるで気にならないような骨太の戦争ドラマのストーリーの紹介をできるだけ簡単に。
 第二次世界大戦の末期のヨーロッパ戦線において。戦闘中においてジョー・コスタ中尉(ジャック・パランス)の部下たちは、上官のクーニー大尉(エディ・アルバート)の無能さのおかげで犠牲になってしまっていた。クーニー大尉に対してコスタ中尉は怒りを露わにするが、実はクーニー大尉はバートレット大佐(リー・マーヴィン)という後ろ盾がいた。
 バートレット大佐は戦争終結後に政界進出を企んでおり、彼はクーニー大尉と幼馴染であり、しかも彼の父親が地元の有力者でもあることから、クーニー大尉を出世させて自らの野望を達しようという思惑があった。コスタ中尉だけでなく、他の部下からもクーニー大尉の無能さ知らされるが、私利私欲のために無視するような状態だ。
 さて、再度クーニー大尉は出撃命令をコスタ中尉に下す。あまりにも危険な任務であり、無謀な作戦計画だったために、コスタ中尉は『今度こそ、部下を1人でも亡くしたら殺しに戻る』とクーニー大尉に言い放ち、出撃するのだが・・・

 戦争映画と言えばド派手な撃ち合いを期待する人が多いと思うが、俺ぐらい人生を哲学的に考えるぐらいの域に達すると、戦場の中で生死の極限まで追い詰められた人間性を描いてほしいと思う。本作はそんな俺の期待に応えてくれる傑作だ。
 上司が馬鹿だとわかっていながら最前線で命を投げ捨てて戦う者の悲哀、自分の手を全く汚さずに自らの保身を優先する者、何でも利用しまくって自らの出世につなげようとする強欲な者。戦場じゃなくても俺の身の回りにも、卑怯者で私利私欲のために生きている奴が居る。あ~、いつの時代にも、何処にでもこんな奴が居る事が嘆かわしいと感じながらも、どうすることもできない自分が情けない。

 クーニー大尉を演じるエディ・アルバートがハンパなく人間のクズっぷりを見せてくれるが、コスタ中尉を演じるジャック・パランスの執念が凄い。どんなに負傷しても戦車に轢き殺されそうになっても命の限界を超えても銃口を向ける。
 戦争においては正義もプライドも、そして神への祈りも通用しない。反戦映画の部類に入ると思うが、人間性、男同士の醜い争い、友情、誇りが描かれていて気分が熱くなれる要素もある。モノクロであり、ド派手なアクションがあるわけではない。命を懸けた戦場において極限の人間ドラマが観れるお勧め作品として今回は攻撃を挙げておこう。

攻撃 [DVD]
ジャック・パランス,エディ・アルバート,リー・マーヴィン,ウィリアム・スミサーズ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督はロバート・アルドリッチ。男の熱い争いを描いた映画が多いのが特徴。ゲーリー・クーパー、バート・ランカスター競演の西部劇ヴェラクルス、列車の車掌とただ乗りを企むおっさん同士の熱い戦いが繰り広げられる北国の帝王、女同士の怖い戦いを描いた何がジェーンに起こったか?、砂漠のど真ん中に不時着してしまった飛べ!フェニックス、戦争アクション映画特攻大作戦など、お勧め映画が多数あります。 
 



 

 

 
 

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