梅雨時の青い梅は、猛毒である。枇杷の実にも含まれるアミグダリンが、激しい腹痛を起こし、七転八倒を繰り返す。運が悪ければ、死に至る。青酸カリに匹敵するという、アミグダリンの毒は、がん細胞を食べてくれる。しかし尚、危険であり、致死量に到らなければいい。と言う問題でもないので、止めておいたのがいいでしょう。
子どもの頃、祖母が言うことには一理あり、屁理屈を捏ねると、悲惨な結果になった。腹も痛いと言うものでなく、声も出ない上に、冷や汗が出る。祖母には、科学的な知識はなく、工夫や経験で知っていたものと思える。薬になる物も、使い方を誤れば命を奪う。その微妙な頃合いを、匙加減と言い、人間は知恵で乗り越えてきた。
日本の四季が失われて、季節感が殆どないが、それでも道端に咲く花や、宇宙の星に眼を向けて、知識を深めてほしい。月の移り変わりや、田畑の様子。蛍が飛ぶ頃の夕闇の色を、知っていてほしい。言葉は、あいうえおをランダムに並べて、組み合わせることで、どんなことも通じ合う。情緒ある、日本ならではの言葉を使ってほしい。
花は好き嫌いを除けば、どんな花も綺麗です。美しいのです。言葉で表現するのに、綺麗だけではなく、白く可憐だったり、地上に降った星の欠片のような青さだったり、太陽を閉じ込めたような美しさであるのでしょう。安房直子さんの『きつねの窓』には、山に咲く桔梗が書かれています。手に取るように、色がわかるのです。
本が読めることは、何という贅沢であろうか。と、感謝します。知識を深め、自分の知らないことを教えてもらえることに、一種の興奮を覚えます。岡山県出身の、緒方洪庵は、医者を志す門下生に、学ばせる工夫として、とてもユニークな試みをしたそうです。昔も、今も、そういった取り組みをすれば、向学心に燃える職員も増えるのではないかしら?
亡くなる1週間前の銀河。じっとして動かない日が続き、食欲も失くした。それでも、トイレにはちゃんと行った。ほんとうに頑張ったんだね、銀河。