人間の心に反応する言葉には、とても強い魔力があり、言った人のオーラが、そのまま伝わることもあれば、変化してしまうことも、或いは闇に紛れ込んでしまうこともある。そうしてそれが、何処に行き着くかは、誰にも明確にはならない。不可思議であり、真実の結果にしかならない。つまりは、相手を呪って言葉を発すれば、即ち、我が身が滅ぶのだ。
言葉に、真実があれば尚よく、更に信があれば実を結ぶ。たった一言に込められた刃が、鋭い刃先で突き刺せば、たちどころに命を奪う。優しい言葉を幾重にもかけ続けて、思わぬ結果になることもある。それほどに、言葉の持つ意味合いは深い。どんな綺麗な言葉も、行き着く間に、醜く歪んだり、汚れてしまったりもするのだ。
言葉が文字として活字になると、加わる力に依るが、魔力を持つことにもなる。古代から密やかに隠れていたものが、姿を現すのかもしれない。不意に力をつけて、形を成すのかもしれない。中国の、絶世の美女の一人褒娰は、黒蜥蜴の変じた者らしく、闇に吸い込まれるように、姿を消したと言う。
覆水盆に返らず。とあるように、言葉も、口から出た後は、どのように言い繕っても意味がない。正しいとか、間違っているとかでなく、それ自体が姿を現せて歩き出す。そうなると手がつけられず、消し去ることも不可能になる。こうしている途中でさえ、不穏な動きが耐えない。螺旋を描いて、四方八方に飛んでゆく。
今春、咲いたチューリップの双子。球根の状態が、不良品であったらしい。今年は、三つ子も四つ子もあり、原因不明です。