ユノーは娘が眠りについた時、呪文をかけ「目覚めよ、我の許へと出でよ」ここまでの道案内には祖母を充てました。娘の夢の中に入り込むと、祖母は古里の景色を懐かしみながら歩きます。娘の好きな祖母ですから疑うまでもなく、田畑の畔を続きます。娘の祖母は、この世の者ではなくユノーの魔力です。
祖母が道々語ることは、薬草のことばかりでしたから娘は夢とも思いません。小さい頃に、祖母の後を付いて周った記憶が鮮やかに甦ります。娘が近づいて来ますが、未だユノーの姿は視えていません。祖母が「ごらん、あれがその樹だよ」と太い幹の緑の葉に覆われて繁る樹を指指し「薬樹の枇杷葉」告げた。
娘は、その樹の傍らに立ちゆっくりと見上げます。祖母は、井戸水を汲み上げて流れる清水に手を浸し祈ります。香しい匂いがして、樹に花が咲いたことを告げました。娘は、驚いて瞳を瞠りました。「枇杷葉の花が一斉に咲く、なんと不思議なこともあるもの」祖母は我が孫ながら、感無量と役目の重き信に。
孫でありながら龍の意思であることに、今更ながら惧れを抱きます。祖母は、知識の凡てをこと細やかに話すのでした。娘は、一言も聴き逃すまいと言葉を身体に沁み亘らせるのでした。祖母は話し終え「これを用いての治療に、専念致すのですよ」「お訓え、確かに心得ました」祖母の姿は、忽然と消え然る。
娘は、井戸の傍らに蹲る石が動いたことにはっとしました。石?置物が動くのだろうか、固唾をのんだ強い気迫が押し寄せます。娘の眼前に白龍が現れて『よく来た、選ばれし者よ』その声は娘の心へと直接語り掛け、やさしい眼差しで見つめます。娘を白龍の髭が抱き上げると、天空を悠と翔けていきました。
祖母が道々語ることは、薬草のことばかりでしたから娘は夢とも思いません。小さい頃に、祖母の後を付いて周った記憶が鮮やかに甦ります。娘が近づいて来ますが、未だユノーの姿は視えていません。祖母が「ごらん、あれがその樹だよ」と太い幹の緑の葉に覆われて繁る樹を指指し「薬樹の枇杷葉」告げた。
娘は、その樹の傍らに立ちゆっくりと見上げます。祖母は、井戸水を汲み上げて流れる清水に手を浸し祈ります。香しい匂いがして、樹に花が咲いたことを告げました。娘は、驚いて瞳を瞠りました。「枇杷葉の花が一斉に咲く、なんと不思議なこともあるもの」祖母は我が孫ながら、感無量と役目の重き信に。
孫でありながら龍の意思であることに、今更ながら惧れを抱きます。祖母は、知識の凡てをこと細やかに話すのでした。娘は、一言も聴き逃すまいと言葉を身体に沁み亘らせるのでした。祖母は話し終え「これを用いての治療に、専念致すのですよ」「お訓え、確かに心得ました」祖母の姿は、忽然と消え然る。
娘は、井戸の傍らに蹲る石が動いたことにはっとしました。石?置物が動くのだろうか、固唾をのんだ強い気迫が押し寄せます。娘の眼前に白龍が現れて『よく来た、選ばれし者よ』その声は娘の心へと直接語り掛け、やさしい眼差しで見つめます。娘を白龍の髭が抱き上げると、天空を悠と翔けていきました。