川島雄三監督 最後の年となる1963年に撮った「喜劇とんかつ一代」。
ラストは主演の森繁久彌、淡島千景、山茶花究、水谷良重(八重子)らで大団円、歌でしめる。
とんかつの油のにじむ接吻をしようよ
花が咲いて花が散って 太陽が輝いて 水が光ってる
たくましく とんかつを喰い 二人で腕を組んで
大きな鼻の穴で いっぱい空気を吸おうよ ハア~
とんかつが喰えなくなったら 死んでしまいたい
「とんかつの唄」 佐藤一郎:詞 松井八郎:曲
東京映画「喜劇とんかつ一代」 主題歌
タイトルバックは凝り性の川島らしく、プロのとんかつの手順を見せる。
森繁・淡島といえば昭和30年「夫婦善哉」が当たり役となった名コンビ。
本当にキレイだった。晩年、楽屋をお訪ねした際も失礼ながら、美しいおばあちゃんでいらした。
とんかつには庶民性と、生命力と、活力と、どこかユーモラスな喜劇性がある。
とんかつを食べて愛し合おう、生きて行こうという人生讃歌がこの歌にも、
この作品からも感じられた。
これほどとんかつに愛情をもって作られた映画は空前絶後。
見た直後から、とんかつの口になっていたのは間違いない。
とんかつも結構だがね、まあなんちゅうかね(森繁で)…無性にカツ丼喰いたいのであった。
こういうものはだね、遠くまで出かけていくものではない。
家の近所でうまいかつ丼を喰えばいいのである。 歩いて行ける「なかや」。
だが、そうそう美味いカツ丼が無造作に転がっているわけではない。残念ながら。
確信をもってカツ丼を出す店へ。
カツの揚げ具合。玉子のとじ具合。月にむらくもでないといけない。
白身と黄身の部分が完全に混じり合っては面白くない。しかも半熟具合。
カツ丼は間髪を入れず一心不乱に喰わねば美味しくない。
つゆだくなどと無作法なものは好きではないが、白飯ばかりが余る丼は愚の骨頂。
バランスよく減っていき、タクワンで残りのめしを拭い去るように喰う。
止せばいいのに、蕎麦まで付けて、腹ぱんちきち~。
カツ丼ぐらいまだまだどんと来い! これでもう、この夏は必勝であ~る!!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます