フルートおじさんの八ヶ岳日記

美しい雑木林の四季、人々との交流、いびつなフルートの音

玉鬘の婚姻「源氏物語」第5巻

2012-08-30 | 濫読

5月に第4巻を読み終えてから、バタバタをしていたため、続きを読むのに時間がかかってしまった。8月の終わりになって、ようやく第5巻を読み終えることができた。

「螢」「常夏」「篝火」「野分」「行幸」「藤袴」「真木柱」「梅枝」「藤裏葉」の9章。源氏36歳から40歳の間の話である。

 

玉蔓をめぐる話が中心だ。源氏の娘として育ててきたが、それが左大臣の娘であることを源氏が左大臣に明らかにすることで、話が展開する。入内させるが、最後には、髭黒の右大将の妻となり、若君を生む。それもあってから、髭黒の右大将の北の方は心の病に侵され実家に帰る。

一方、若いころに相思相愛だった源氏の息子、宰相の中将と左大臣の娘、雲居の雁が左大臣の嫌がらせから仲を割かれていたが、左大臣の方から折れることにより、二人は結婚する。

源氏の明石の姫は11歳となり、入内する。源氏は天皇に次ぐ準大上天皇とまで上り詰める。左大臣は太政大臣となり、宰相の中将は中納言となる。

これで林望「源氏物語」もようやく、半ばまで読み進むことができた。年内に読み終えたいものだが、どうなるかな。


三浦しおん 「舟を編む」

2012-06-21 | 濫読

「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2012年本屋大賞」となった、三浦しおん著「舟を編む」(光文社)を読んだ。ストーリー性のない小説だな、と思いながら読み進む。書店員さんが選んだ本だからな、と思っているうちに読み終えてしまった。憎しみや争いがなく、事件はほとんど何もおこらない。爽やかなストーリーが淡々と進んだ。

「辞書は言葉の海を渡る舟だ」「ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし、辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかはないだろう」「海を渡るにふさわしい舟を編む」その思いを込めて「大渡海」という辞書作りに取り組むことになった、と。

常に「用例採集カード」を作成している松本先生、辞書作り一筋で退職した荒木公平、まじめな主任・馬締光也、その妻、美人の板前林香具矢、ひょうきんな先輩西岡、採用3年目の岸辺みどりなどが出てくる。玄武書房辞書編集部の常勤は馬締、佐々木、岸辺の3人だけ。

辞書の専門的な世界も少し出てきた。漢字の「正字」、辞書の印刷に使う紙の「ぬめり」感、普段使わない言葉の例として「めれん」というのがあった。「そういえば、昨夜はずいぶんめれんに見えました」(「めれん」=大いに酒に酔うこと。酩酊。)や西行の項目の解説。富士見=不死身、流れ者、西行背負いなど。

その辞書作りも15年目を迎えた。校閲の四校目で「血潮。血汐」が抜けていることが判明し事件となる。「玄武書房地獄の神保町合宿」をやり、徹底的に校閲を重ねる。専門的でコツコツとした作業が続く辞書作り15年の歳月が流れた。発刊を前にして、松本先生が亡くなるが、松本ー荒木ー馬締の三代にわたる努力が実を結んで、めでたく辞書は刊行にこぎつけたところで、物語は終わる。うっとうしい梅雨の日々に、涼しい風が吹きぬけていった。


「謹訳 源氏物語」第四巻読み終える

2012-05-15 | 濫読

八ヶ岳清里の雑木林は朝から雨になった。外気温6度、室温18度、湿度32%。昼前に「カントリーホーム」さんがやってきて、昨日切れてしまったスチールチェーンソーの「燃料用オイル」を持ってきてくれた。なんと「クラッシック」な三菱のディアマンテに乗っている。嬉しいことに、先日のガーデンパーティのフルート演奏をビデオ編集したものを見せていただいた。

朝のうちは暖かいと思っていたが、昼からの気温が上がらず、なんとなく肌さむいので薪ストーブに火を入れた。

雨で庭仕事ができないので、終日部屋のなかで過ごす。まずは、このところさぼりがちのフルート練習を2時間ほどやる。アルテ24課の「ターン」が難題だ。ぞんざいに吹かずに、きっちりとターンを入れる練習をする。

フルート練習の後は読書だ。中断していた「源氏物語第4巻」を読み終える。
登場人物が沢山出てきて複雑に絡まってくるので、巻頭に掲載された「系図」を常に見ながら読み進む。最愛の藤壺の死を経て、30代前半で太政大臣に上り詰めた源氏に栄華の日々が訪れる。

「薄雲」 藤壺の宮が息を引き取る。祈祷師の僧が、帝に源氏と藤壺の宮との密通の秘事を打ち明ける。

「朝顔」 源氏32歳、桃園式部卿(霧壺院の弟)の娘「朝顔の君」に思いを寄せるがきっぱり断られる。

「少女」 源氏は内大臣から太政大臣に昇進する。源氏の息子=大学の君が元服し、内大臣の娘、「雲居雁」に近づ   こうとするが、二人の仲は裂かれる。

「玉蔓」 亡き夕顔の娘=玉蔓が筑紫から京に上り、昔の夕顔の乳母子の右近と出会う。それを機会に、玉蔓は源氏の住まいに移る。

「初音」 「あらたまの年立ちかえる朝より またるるものは鶯の声」
     正月、源氏の側に侍る君たちは豪華な衣装で着飾る。源氏は紫の上、花散里、玉蔓、明石の御方、末摘花を訪れ正月の挨拶をする。

「胡蝶」 源氏(36歳)が玉蔓(22歳)に懸想する。

ここまで読んでくるとストーリー展開に慣れてきたので大分読みやすくなってきた。


林望謹訳源氏物語 第3巻 読み終える

2012-04-16 | 濫読

朝起きてみると、森は一面の霧に覆われている。外気温2度、風はない。

朝食後、読みかけになっている、林望謹訳「源氏物語 3巻」を読み終えた。

「須磨」「明石」、源氏が位爵を剥奪されて「須磨」にわたる。「明石」で明石の入道の娘と親しくなり、「明石の君」との間、娘が生まれる。「澪標」、朱雀帝が譲位することになり、源氏が復権し、内大臣に上り詰める。源氏はまだ28歳だ。そのとき、親しくしていた六条御息所が亡くなった。伊勢の斎宮を務めていた、彼女の娘が、その葬儀に際して、源氏に返した歌。

 「 消えがてにふるぞ悲しきかきくらし
      わが身それとも思えぬ世に 」

(林望訳 この雪の降る日に、わが身だけは霙のように消えはてもせずに、ただ世に古るばかりなのが悲しくて、涙にかきくれて過ごしておりますと、もう私の身ながら、わが身とも思えぬほど、辛い世の中でございます)

「蓬生」、久しぶりに据摘花の荒れ果てた屋敷を訪れる。「関屋」、源氏が、(復権してい)須磨の願立てが叶ったことの礼参りに石山寺を訪れた際、逢坂の関で、かつての空蝉に出会う。夫、常陸の宮が亡くなり空蝉は尼となる。

 「絵合」、朱雀院の上皇御所で、左右二手に分かれて、絵物語を競う、「伊勢物語」なども出てくるが、最後に、源氏が描いた「須磨」の絵巻物が出され、その類まれのない美しさで、他を圧倒し左方が勝つ。
朱雀院(34歳)が、前伊勢の斎宮(22歳)を慕う。時に冷泉帝は13歳。源氏は、その冷泉帝に前伊勢の斎宮を入内させた。

「松風」、源氏は二条に東院を建て、そこに、これまで源氏が情をかけた女性たちを一堂に集めて暮らさせる。まず、花散里を引き移らせる。明石の入道は桂の近くに別邸(大井の邸)を建て、そこに明石の君とその姫君、母親を住まわせ、一人明石に残る。源氏も嵯峨野に御堂を建立し、そこからこの大井の邸に通う。

ここまで読んでくると、源氏物語の世界にかなり入ってきたかな。複雑な人間関係や、源氏の色好みにも、だいぶん慣れてきた感じだ。


 


トルストイ「戦争と平和」 上巻 読了

2012-04-06 | 濫読

今朝の空は曇っている。外気温マイナス3度、室温14度、湿度19%

今日から妻が大阪に戻るので、長坂バス停まで送っていく。その後、Jマート、きららで買い物。図書館へ予約しておいた本を取りに行く。ガソリンスタンドでガソリンを満タンにし、灯油を18L、2缶入れると1万円を超えた。ガソリンが値上がりしてきているのを実感する。

午後から、先日の春嵐で倒れてしまった、ウリカエデを処理する。木の根元をみると、腐りかかっていた。それで大風に耐えられなくなって倒れたのであろう。丁度、樹木が重なっているところだったので、上手く自然の力で間引くことができた、ということになる。ウリハダカエデの幹は40センチにカットして薪として使う。森の中を散歩すると、ダンコウバイの蕾が大分ほころんで来た。

そうこうするうちに陽が西の森の中に沈もうとしている。日没は大分遅くなってきて、今日は丁度6時だった。

夕食後は、ポエミのベートーヴェンのピアノソナタ全集をかけながら、トルストイの「戦争と平和」を読む。(中村白葉訳 世界文学全集) 今日でようやく、上巻を読み終えた。

ナポレオンがヨーロッパを席巻しようとしているという国際情勢を背景に、ロシアの貴族の日常生活が綴られる。ボルコンスキー公爵家、ロストフ伯爵家、富裕なピエール、ワシリー公爵とその娘エレン、息子アナトーリ。派手でぜいたくな夜会を初めとした貴族社会の退廃。話は、有名な1805年の「アウステルリッツの三帝会戦」におけるロシア・オーストリアの敗北、アレクサンドル1世に見出された官僚スペランスキーの登場と失脚、ピエールが入会したフリーメイソンの活動などなど。

ロストフ家での、ボルゾイ犬を使った狼狩りの場面が面白かった。恋愛のストーリー展開は、あまりにもあっけなく、なんでこうなるの、といった感じだ。突然のアンドレイ公爵とナターシャの婚約。結婚がアンドレイ公爵の父親の反対で1年の猶予期間が置かれると、その間二人は手紙のやり取りすらしていないのが不思議だ。その間に、遊び人アナトーリに誘惑されるナターシャは、まだ17,8歳とはいえ、子供過ぎる。上巻はこの場面で終わった。

トーマス・マンに影響された辻邦生は、トーマス・マンが「トルストイの退屈に対する不撓な意思」と言ったのを取り上げている。辻邦生は、「『戦争と平和』の描写などは面白さや劇的構成などを無視して、退屈でもなんでも、トルストイはただ書いた、という風に感じた。」と言っているが、まさにその通りだった。はてさて、下巻はどうなるのであろうか。