2006年度の時点で、シリーズ300万部突破したという、日本史に興味がある人であれば、誰でも一度は読んだか 耳にしたことがあるだろう、井沢元彦さんの人気シリーズです。
私がこのシリーズを最初に手にしたのは、帰国後すぐ、31歳~でした。第一巻、封印された倭の謎には、自分が幼児期を過ごした大分県宇佐市にある、宇佐神宮が登場しており、嬉しかったものです。戦前は戦いの神様だったと両親から聞かされていましたが、伊勢神宮との関係も深かったとは! 天皇家は朝鮮半島から渡ってきた可能性もある(?)、出雲大社が日本最大の建築物である謎を解き明かす…資料が少ない(中国史に「倭国」として登場するだけ)まだ、記録を残す程には国として成り立っていなかった時代なので、推測する部分が多いものの、
「これは大変興味深い仮説だな!」と思いながら夢中になったものでした。ただ、シリーズ最後まで読破することなく、(確か室町時代か、手前当たりで終わった気が…) 仕事が忙しくなり、図書館通いから遠のいたから、だったのか、理由は今となっては定かでは… まだシリーズも完結しておらず、図書館が所蔵していなかったからかもしれませんし???
何はともあれ、再びこの本を手にとって、最初から読み直してみようと思い立ったのは、塩野七生さんを通して、古代ローマ史や、ローマ亡き後の地中海世界の歴史、更には古代ギリシアや十字軍の歴史に触れたからかもしれません。
一応、「キリスト教倫理」や「聖書」も大学の文学部で読んでいた私には、「英文学を理解するには、キリスト教や聖書もある程度、知っていなければならない」ということは19歳の頃から感じてはいました。
だからかな、井沢元彦さんが主張する、「神道」や 聖徳太子が最初に日本に広めたともいえる「仏教」はもちろんのこと、「日本宗教ともいえる言霊、怨霊」も日本史を理解する上で、欠かせない、ということは良く理解出来ました。
国編纂の日本書紀や 続・日本書紀、のみに書かれたことが す・べ・て、ではないことも。 現代だって、森友・かけ学園問題の公表される資料は黒塗りだし、ノモンハン事件にしろ、当時は国民に伏せられていたことも多く、一般的によく知られるようになったのは、昭和も中期から後期に入ってから~ですもん。
当時は書けなかったことが、時代が半世紀以上経てば、権力者に罰せられたりする心配もなくなり、語れるようになった、ということも当然あると思います。
井沢さんの説であれば、「日本書紀は天武天皇の正体を隠すために編纂された!?」(316ページ)
「壬申の乱は、親新羅派の天武が、反新羅の天智天皇を暗殺することによって、日唐同盟を阻止し、その息子大友「天皇」も滅亡させて、政権を奪ったという事件だった。また、天武は勝者となって後、『日本書紀』の編纂を命じた。自分の立場を正当化するためだ」(同ページ 1行目~6行目)
特に興味深いところを抜粋していますが、「すでに読みました」という方が多いと思いますので、最後に副題ともなっている、聖徳太子の『称号の謎』について~
生前、厩戸皇子(うまやどのみこ)だった聖徳太子は、死後、聖徳という、おくりなが贈られたのは、彼が無念の死を遂げたからではないか?
という仮説を立て、「徳」の字を贈られた6人の天皇の死を井沢さんが検証されています。
孝徳天皇 代36 中大兄皇子に妻を奪われ、旧群に置き去りにされ、家臣に放置され孤独死。
称徳天皇 48 病死だが暗殺説あり
文徳天皇 55 第一皇子を皇太子にできず、発病後、わずか四日で急死。
崇徳天皇 75 政権奪還のため保元の乱をおこすが敗北し、讃岐へ流罪。「天皇家を没落させる!」と呪いをかけ憤死。
安徳天皇 81 平家の血を引く幼帝。二位の尼に抱かれ、海中へ 投身自殺。
順徳天皇 84 武家政権を打倒するため父とともに挙兵するが敗れ、佐渡へ流罪。都への帰還を切望しながら憤死。
111ページより抜粋
怨念となって「祟られる」ことを恐れ、出雲大社を始め、奈良の大仏や東大寺、福岡県民の自分としては真っ先に浮かぶ、菅原道真公が祀られた太宰府天満宮。どれも ”祀られたお方”の鎮魂を願い、「どうか祟り神にならず、お眠り下さいませ…」という日本古来の考え方が、無念の死を遂げた天皇に立派な「おくりな」を死後に贈るというのも、頷けます。
子供の頃、何か不吉な出来事が起これば、「いい子にしていないから、ほら、見なさい!罰が当たった!」と母親や祖母から言われた記憶が… これも一種の「祟りを恐れる」日本人ならではな感覚だったのかも…しれません…
かなり大掛かりな… 図で見ると、改めて驚いてしまいますね。
ここに紹介した2⃣は数日前に読み終わり、今、読書中なのは、第3⃣巻です。いや~懐かしい~ 当時はパソコンもなく、当然、ブログもやっていなかったので、読みっぱなしで時折、紙切れにメモする程度でしたので。世界史のあと、再び日本史へ戻ってくるのもいいかな、と。
明日から再び仕事なので、今夜中に読めるところまで読んでおきたいものです。📚 読書の秋、ですね。
ps 今、ざっと数えたら、今年になって114冊、本を読んでいました。1つの記事で上下巻だったり、1冊を数回に分けて書いたりしているので、カウント間違いもあるかもしれませんが。ちなにみブックカバーチャレンジで紹介した本は、幼児・小学生・中学・高校時代に読んだ本について書いたため、当然ながら、カウントからは省いております。
新年度の目標は、「コロナを有意義に過ごしたい:読書をする!」でした。今の所、目標達成率は100%と言ってもいいかな。