何とも不思議な小説集です。
恩田陸さんといえば、『夜のピクニック』ですが、この小説はまるで違います
物語が始まる前に、杉本秀太郎氏による詩、時にはフランス語(?)と作者による翻訳も!
俳句もあり。 これまた不思議な雰囲気のイラストも、上質カラー紙で
私のお気に入り(?)は、『窯変・田久保順子』です。
生まれる前の赤ちゃんは、自分自身が非凡で才能ある特別な一人であることを知っていた、いや、確信していた!
にも拘わらず、どうしようもない親の元で育てられ、本来ならば語彙も豊富な筈の幼児、田久保順子が発する言葉と言えば、「くたばれ! 黙れ!」等々。 パチンコ屋に入り浸る親からかけて貰う言葉… 結局、人類を救う程の才女であった筈なのに、その能力を発揮することなくこの世から消えた…
人間を人とするのは、環境だ~って話。 自分も昔、似たようなテーマで書きかけて辞めた経緯あり。
恩田さんの短編集には、無駄がない。
スリムで洗練された文体は流石~としかいいようがない。
短歌、俳句、詩、イラスト、そして小説。 語彙が豊富な昭和初期世代に好まれそうな一冊。
(今年、75冊目)