古稀からの手習い 水彩ブログ

人生の第4コーナー、水彩画で楽しみたいと思います

むかしむかし浦島は・・・(教室にて)

2023-02-06 06:59:16 | 静物(動物)
突然に海中の亀の絵で失礼します。
先日(1月19日)の教室では、それは立派な亀(剥製の置物)と松などが添えられていました。
ともに長寿を願ったり祝ったりする代表的なモチーフでしょう。
教室では専ら亀の模様をどう描くかだけに終始しました。
家であらためて描き始めると何やら海の中での亀を描きたくなりました。
亀とカラフルな珊瑚を組み合わせた透明な海中での情景です。

今回の絵は、実際の写生とは違った、あえて言えば“水中カメラマンの視点”からで、
想像の世界でもあります。

先に高野切を書いたときは、練習の合間に、
美空ひばりや三橋美智也の「船頭可愛いや」を幾度となく聴きましたが、
今回は、描きながら自然に口遊んでいたのがタイトルの「浦島太郎」です。
浦島太郎本人も、乙姫も、鯛や比目魚(ひらめ)も描いてはいませんが、
イメージだけは海の中での世界に膨らませながら描き始めました。
また珊瑚は竜宮城には程遠いですが、主役が亀であることを考えると、
絵としてはこの辺かな、と。

その童謡の浦島太郎、今から100年ほど前・明治の末期に
尋常小学校の唱歌として採用されたとのことです。
市原悦子さんのお声も懐かしい、まんが「日本昔ばなし」データベースにある
浦島太郎のストーリーも童謡のそれと同じです。

これら童謡等の本(もと)になったのは室町時代に出来た「御伽草子(おとぎぞうし)」のようです。
折角の機会でもあり、ネット上そこに出ている「浦島太郎」を読んでみました。
亀の化身である乙女と一時期楽しい生活をするなど童謡と共通するところもありますが、
最も大きな違いは竜宮城があった場所。
海の上で出会い、10日をかけた海路でついたところは乙女の故郷で、そこは海中ではなく地上です。
その竜宮城には銀の塀や金の屋根があり、
東南西北(この順)の扉には春夏秋冬(この順)の花や鳥や草木など
地上の、四季折々の景色が広がる何とも不思議な世界・・・とあります。

乙姫様のご馳走に・・・も一客人としてではなく、夫婦として生活していますし、
鯛や比目魚も・・・出てきません。

今回海中の亀を描く身としては、いささか当てが外れたと申しますか
拍子抜けの気分でもあります。

ついでに言えば玉手箱の話も、
童謡では開けて“お爺さん”になるところで終わっていますが、
おとぎ話では“鶴”になって蓬莱山へと飛び立ち、
そこで亀の姿になった女と再会、幸せに暮らす、というストーリーだとか。
その後、鶴亀とも長生きし、めでたいものの喩えになったとも。

更にはこのおとぎ話の大本は奈良時代にまでさかのぼり、
丹後国(京都の北部)風土記や万葉集にも記されているとのことです。
こちらの深入りはやめておきます。

前回のブログで、あの勅撰の古今和歌集ですら、その写本には色々あることを知りました。
“むかしむかし・・・”で始まるこういう口承文芸は、変わっていくところもまた多いのでしょう。

それからもう一つびっくりしたのが、マルチで大活躍しているバカリズムさんの浦島太郎。
彼のyoutube:バカリズムライブ番外編「バカリズム案7」』では、
この浦島太郎をテーマにしているのです。
そこでは、彼らしい鋭い切り口から、この昔話(おとぎ話の方ではなく童謡など)はおかしいとし、
彼独自のストーリー・・・面白おかしくそれでいて切なく、最後は笑いをとりながらストンと落ちる・・・
を創り、提示しているのです。
この一つを見ても、本当に彼は天才だなと思いました。

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2 コメント

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Unknown (mori)
2023-02-06 07:16:04
ウミガメが何かを求めて海中に潜っていく姿が見事に描かれていると思います。泡立ちも良いですね。
カメさんの目が何とも言えない雰囲気を醸し出しています。
それから海底のサンゴと海水の色合いも絶妙ですね。
おとぎ話の件、そうだったのかとビックリするとともに昔からの言い伝えは色々な分野でそうなんだろうなと思いました。
何時ものことながらいろいろ深く探求されるのには敬服です。
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Unknown (サガミの介)
2023-02-06 08:03:56
剥製とはいえ本物のウミガメの甲羅が置いてある教室はすごいですね。
本物を写生したリアルな甲羅に優れた技術で描いた顔、特に「まなこ」が可愛いな、と思いました。
珊瑚のお花畑、青い海の底、このカメさんの背中に太郎さんが乗って、というよりカメさんに乗り移って竜宮城を訪れる、楽しい想像を掻き立ててくれる、ファンタジックな絵を魅せてもらいました。
浦島太郎のお話、とても楽しかったです。
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