今年も桜の季節となりました。
高野切第一種の春歌から一首を。
桜の花の盛りに久しく訪はざりける人の来たりける時に詠みける
詠み人知らず
徒なりと名にこそ立てれ桜花 年に稀なる人も待ちけり
(半切1/2大)
本歌は古今和歌集の62番歌で、“詠み人知らず”となっていますが、
次の63番歌が業平の朝臣の返歌となっていることから、
業平と親しい女性の歌ということのようです。
めったに訪ねてこない彼が、桜満開時に来たときに、やや皮肉を込めて詠んだ歌とのことで、
徒(あだ)な(一時的で儚い)と評判がたっている桜花だが、
我が家の桜は、年のうち稀にしか来ない人を待って咲いている
・・・ぐらいの意でしょうか。
因みに、電子辞書に“なりひら(業平)”と入力すると、
① 在原業平のこと
② ①から色男、また好色な男の意とありました。念のため。
書道としては、実はある字にかなり前から魅せられていました。
それは“さ”の字で、上の1行目上から8番目の字です。
上掲だけでも“さ”は4字あり、内3字は似ていますが、この1行8番の字です。
10年ちょっと前に入手した角川の書道字典の仮名編では、
仮名毎、出典毎に掲載されていますが、
約100字ある“さ”の中で、この字が最も気に入っています。
特に2画目のカーブのとり方がたまりません。
やっとこの字の出典作品に出会えた!というぐらいの気分でおります。
お笑いあれ!
『安倍晋三回顧録』を読み終えました。
読後の所感は次回の拙ブログで記したいと思います。
さてさて、説明を読んで再度”さ”をよく見てみましたが、言われてみると何となくそう感じないではないものの、私などには良く分からず、あ~この辺が才能のある人とそうでない者の差なんだろうと苦笑いです。
いよいよ春です。桜を始め、周辺の木々も色々な花を咲かせ、日々のウォーキングを楽しませて頂いています。
プレーボーイの業平朝臣にまつわるお話は時代を経ても色あせることなく伝えられているようです。
その謂れを含めて読まれた歌、作品のように美しく優しく書が書けたらどんなに充実感を覚えることでしょう。
安倍晋三回顧録、まだ手に入りません、作者の読後感を期待しております。