千里
白雪のともに我が身は降りぬれど 心は消えぬものにぞありける
(半切縦4/5大)(画像処理によりフィルター掛け)
高野切第三種の大字仮名による練習を続けています。
今回は大江千里の歌です。
大まかな歌意は、
白雪が降るように自分の身も古く(掛詞)なったが、
(雪が消えてしまうようには)心は消えぬものだ、・・・ぐらいのようです。
高野切第三種の特徴について、練習する者にとって大変有益な解説が
書道専門店・大阪教材社様からなされていましたので、以下引用(趣旨)させていただきます。
「第一種」から「第三種」まである高野切はいずれも名筆だが、
中でも「第三種」は、
字形が整っていて個々の文字が分かりやすく、
連綿も伸びやかで率直な書きぶりであるため、
仮名の初心者にもその魅力が分かりやすく人気が高い、と。
書道を深くされる方の中にとっては、
高野切第三種は整いすぎてつまらない、とする人もいるようですが、
さらに書道を深める中で、この第三種を再評価される方が多いようです。
高野切三つの中で、「第三種」は最も若々しく明快です。
整った平明な字形もさることながら、連綿の美しさ、伸びやかさが秀逸です。
整った平明な字形もさることながら、連綿の美しさ、伸びやかさが秀逸です。
また第三種の淡々とした筆運びの魅力は、
過剰な装飾を嫌う日本人の美意識に訴えかけるものがあります。(引用終わり)と。
今回の練習でお手本にした(日本名筆選5)「高野切第三種 伝紀貫之筆」(二玄社)には、
約30数ページにわたり、和歌50数首のほか、歌題、詞書(ことばがき)、作者名など
字数にして約3000字が書かれています。
今回は、この最初から終わりまでの全部を一通り(二度書き、三度書きの個所も)、まず半紙に小筆で練習し、
そのうちの数首をこのように拡大・臨書している次第です。
小筆による練習では、繰り返し出てくる字からその字形の特徴などを学び、
大字による練習からは、一文字の字形のより細かなところや
各文字の大小・太細の配置、あるいは軸線の流れなどを学ばせてもらっています。
この高野切第三種、実は書いていて、何やら、すっきりと洗われた気分になるから不思議です。
熟達者と思われる作者が、最初から終わりまでの全部を二、三度書きも含め小筆で練習されていると書かれています。
極めるまでの長い道のり、熱意と努力、精進に脱帽です。
と思い、説明を読んでいて最後の部分に大きく頷きました。
絵の道も書道の道も次から次へと新たな道を探し、探求する姿にただただ敬服するのみです。