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佐渡を続けます。
荒海や佐渡に横たふ天の川(芭蕉)
海は荒海向こうは佐渡よ・・(白秋 砂山)
佐渡~の~荒磯(ありそ)の岩かげに・・(ひばりの佐渡情話)
佐渡で描いてみたいと思うのは,
前回の雨の竹林のほか、
荒海、磯それに老松あたりでしょうか。
旅の3日目、これらを一望できる絶景の地へ案内してもらいました。
「尖閣湾」というところです。
西海岸の南北ほぼ中間付近、東・両津港の真反対側にあたります。
海食によってできた、高さ20~30mの段丘崖が
画面左奥(南)方向に、2~3キロにわたって続く雄大な景観です。
昭和8年に「尖閣湾」と命名され、
昭和20年代の後半、大人気を博した菊田一夫原作の“君の名は”
の映画のロケ地にもなったとのことです。
当地には同氏の詩碑などもありました。
「尖閣」といえば、どうしても「尖閣諸島」を連想します。
ここを訪ねたとき、“おお、ここにも尖閣という地名があるんだ!”
とちょっと驚いたことでした。
南の「尖閣諸島」の場合の命名は明治23年といいます。
両者にどういう関係があったか知る由もありませんが、
考えてみれば、日本で「尖閣」という言葉が特別問題になったのは、
中国が無茶苦茶なことを言い出して(昭和43年)からであり、
同じ地名の場所など日本にはそこら中にあります。
「閣」には、見晴らしのいい立派な高殿(たかどの)などの意もあるようなので、
“諸島”、“湾”ともに一般的な用語として極々普通に使ったのでしょう。
見学当日はやや曇り空、白波もそれなりに立ち、そして老松の姿もよし・・・絶好のタイミングでした。
以前旅した能登半島で見たうす寒く荒々しい海・日本海、その波が佐渡に押し寄せそそり立つ岸壁にぶち当たり砕けている、写真では表せない自然との対話が感じられました。