クタビレ爺イの山日記

諸先達の記録などを後追いして高崎近辺の低山中心に歩いています。

再び矢筈山論議  H-20-1-18

2008-01-18 17:12:21 | 倉渕・長野原・草津・嬬恋
昨日の調べものの時に忘れていたものを思い出させる一文を見てしまった。
H-18-6の一時期に疑問があってブログにも書いた「矢筈山」の事である。
以前の記事と一部分重複はするが再び疑問符を投げかける事にした。
前回は上の地図を見た事が発端だった。
何が気になったかと云うと「浅間隠山」と「矢筈山」が別個の山として
扱われていたからである。オマケに矢筈がトンでもない位置に書かれていた。
出所は「上野国郡村誌・碓井郡」の付属地図、一寸古いが
れっきとした公式刊行物。「上野国郡村誌・吾妻郡」にも同様の図。

上記の写真の矢筈山の位置からすると「笹塒山」や「竜ヶ岳」が
相当であるが、これについては既に図が間違いとの回答を関係筋から得ている。
爺イの今の常識では「浅間隠山」=「矢筈山」であるし、多くの登山関係の
HPでも「浅間隠」という山名の由来説明と共に頂上の双耳形又は馬蹄形
の形から「矢筈」の別名が出たと解説しているから間違いは無いと思っている。
勿論、矢筈とは弓矢の上部の弦を受ける切りこみ部分の事。

それを後押しする文献の代表は「長野原町誌」。その浅間隠山の記述には
「東方から見る時、浅間山の前面に突き立ち、浅間山を隠していることから
この名がある。山体は北方に面して欠けて馬蹄形をしており、又「矢筈形」
にも見えるので「矢筈山」とも言われている」とある。この解釈が一般的。
まあ、ここまでは順調。

しかし、昨日又、見てしまったのだ。何を?って、次の文献をだ。
「吾妻教育会」S-4の「吾妻郡誌・地勢」から引用。
「角落火山は荒船火山の北方で浅間火山と榛名火山との間に位置する。
最高は鼻曲山1654mでこれから四方に山肢が出て、其の南に走るものは
碓氷旧道の峠町に至り、北に走るものは矢筈山1473mを経て浅間隠1756m
となるーーー」つまり、矢筈山は鼻曲の北、浅間隠の南と言っているのだ。

似たような記事は郡村誌・碓井郡の記述から引用。
「――西北隅の角落火山群は鼻曲山・角落山・剣ノ峰を主峰とし矢筈山・
浅間隠山・一の字山・霧積山がその支峰――鼻曲山は上信の国境に巍峨として
聳え立ち海抜 1654mという郡内の最高峰。その東に現在は死火山の
角落山 1396mが対立している。剣ノ峰1430mは角落の西南に
連なる峻峰でその名の如く極めて険峻である。
矢筈山は1467mでその北に隣れる支峰、浅間隠山1756mは脈を
引いて上信の国境を制している。――」としてこれも二つの山は、はっきり
と別山扱い。
記載の標高も現在の国土院の数値と大差はないので困ったものだ。
問題はここで言う「矢筈山」に相当するのが今の何山なのか?判らない。
岩淵は1528m、駒髪は1483mだからこの近辺で1467mや1473m峰に
近いのは南の「日妻ヒヅマ山」1467mきりない。
日妻山は最近になつて再び氷妻山と昔の名前に帰ったとの事。吾妻と碓氷の
境だから両方から一字づつとって山名としたらしいので昔の名前が矢筈
とは思えない。
さてさて矢筈山は何処に行ってしまったんだろう?
やはり浅間隠かなーー。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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興味深々です (風花爺さん)
2008-01-24 11:56:46
大変興味深く拝読しました。

私もこの種の疑問が生じると気になって、気になって、何とも落ち着けない気分になってしまう性質です。

浅間隠山=矢筈山としか思っていませんでしたが、これは一体どういうことなんでしょうか?

また何か進展がありましたらブログにアップしてください。
返信する
矢筈山 (爺イ)
2008-01-25 09:56:50
風花爺さま
コメント感謝。これだけハッキリと別山の記録が
残っているからには何か理由がありそうです。
何れ古い記録を捜し出す積もりです。
HP拝見しました。今後とも宜しく。
返信する

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