汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

赤く灯る海

2017年03月23日 | 悲哀の詩
何も無い この道の奥には
忍び寄る 気配に心怯え 鬱ぎ込んだ 人影がある

侵食されて行く 身体の稜線が恐怖に震えて
皆 ばらばらに裂けてしまった
此処は何処? 塞がれた眼に 滴る甘い声音

何処までも果の無い 煌々と輝く海原
覆い被さる波に呑まれ 潰えて行く

どうして? 涙が止まらない
流されて やがてこの肉体をも 引き裂かれて
赤く灯る海面に 月光の優しい眼差しが 写る

何処までも果の無い道
闇に煌々と揺れる海原は 甘くその聲を燈す
やがて見失う 意識が変性して
艶かしく躍り出す海原 さざ波が揚々と弾けて
引き裂かれていく肉体

どうして? 涙が溢れ出してくる
引き千切れ ばらばらになり 生き絶えた
赤く燈る海原に 浮く 無数の肉片
喪った声を求めて 彷徨う
行く宛ても無いまま 海底に沈殿して行くように

やがて見失い 変性した意識が 踊り出す
引き裂かれた肉体 それは鮮やかなる死の臭い
血に赤く染まった海原に纏う
漆黒の蒼穹には 星が雄大に煌めいている

どうして?
誰も居なくなったこの地で 泣いている
行く当ても無いままに 沈殿して行く命は
引き裂かれ ばらばらになって 跡形も無くなったのに

どうして?
忍び寄る気配に怯え 心が鬱ぎ込んでしまうのは

どうして?
もう 誰も居なくなってしまった この地で
忍び寄るあの気配に怯えて 心を閉ざしてしまうのは

「ねえ どうして?」

あの瞬間
波に拐われ 肉体の何もかもが 引き裂かれ
ばらばらになって 赤く海原を染めて
皆 跡形も亡くなってしまったのに

もはや誰も居ない この地上で
心を閉ざしてしまうのは

「ねえ、どうして?」

こっちにおいでよ
このままじゃ さみしいから...
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