健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

脳に電極を置いて義手を動かす

2011-11-04 08:30:32 | 研究
手や腕を動かせない患者の意思を、脳表面に置いたシート状の電極で読み取り、高い精度でロボットハンドを動かすことに成功したというニュースが報道されています(MSNさんけにニュース)。これまでも似たような取り組みが行われていました。ですが、患者の脳波を読み取る方法としては、脳組織に電極を刺す方法がありましたが、脳を傷つけることの副作用や傷痕の変質による感度の低下など、実用化に向けた課題が指摘されていたそうです。今回は大阪大学などの日本の研究グループによるもので、難治性疼痛やてんかんなどの治療のために頭蓋の内側の脳表面にシート状電極を設置した12人の患者の同意を得て、物を握ったり肘を曲げたりしようとする意思を読み取れるかどうかを調べた結果だそうです。その結果、脳波の高周波成分に運動を開始する意思や運動内容の特徴が強く表れることを発見したそうです。一つの動作につき50~60回繰り返し、コンピューターに脳波の特徴を学習させると、患者の意思を6~9割の精度で推定できたそうです。半身不全まひがある患者が、脳波でロボットを制御し、物をつかんだり持ち上げたりすることもできたそうです。驚きですね。電極を表面に置く今回の技術は、電極を刺す方法に比べて患者の負担は小さく、ワイヤレスタイプのシート電極を体内に埋め込む方法での実用化が期待されるようです。さらに、動作の支援だけでなく、患者がコンピューターのカーソルを動かして会話できるようするなど、重度の神経難病患者らの生活を支援する技術として臨床応用を目指すそうです。3年後に臨床研究を始め、10年後の実用化を目指すとも。すごい技術ですね。
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