膵島の細胞移植治療に利用する免疫抑制剤タクロリムスが、移植後に膵島周囲の栄養血管網の新生構築を阻害することが明らかになったそうです(QLife Pro)。重症の糖尿病に膵島移植の細胞移植治療を行うそうです。膵臓移植などの臓器移植治療に比べ、細胞移植は全身麻酔や開腹手術が不要、点滴の要領で短時間に終了するため、安全・簡便・低侵襲と期待されているそうです。一方で、移植後の細胞の生着率の低さなど課題も多く、臓器移植より治療効果が弱いとされているとも。同種細胞移植(亡くなった他人からの移植)は自家細胞移植(自分の細胞を戻す移植)より長期的な生着率が低いそうです。同種細胞移植で使う免疫抑制剤が原因と目され、ラバマイシンの血管新生抑制効果が最近わかったそうです。シロリムスも血管構築阻害効果など副作用をもつそうですが、現在、安全性が高いとタクロリムスが使われるが血管新生に及ぼす影響は未検証だったそうです。今回の研究で、タクロリムスが移植膵島の血管新生に及ぼす影響を高感度イメージングシステムで調べたそうです。その結果、移植後14日以内に血管新生が完了し、タクロリムスの投与で新生血管体積が減少したそうです。遺伝子発現の変化を調べると、血管誘導因子は上昇したが細胞周期への影響は確認されなかったというのです。したがって、タクロリムスは移植膵島からの血管誘導因子の放出制御を介さずに血管新生を抑制することが明らかになったというものです。この阻害効果を考慮して免疫抑制療法を至適化すれば、同種細胞移植療法の成績は改善することが期待できるそうです。
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