Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 460 キャンプ特報:南海ホークス編

2017年01月04日 | 1985 年 



【 朝 】:朝寝坊のくせに大飯喰らいなのが井上投手。2月1日の大阪・中モズ球場でのキャンプインに1時間半の大遅刻をしてしまい過去最高額の罰金を払う羽目となった。それに懲りたのか広島・呉キャンプには目覚まし時計を3個も持参し枕元に置いているという。お蔭で朝の散歩には遅れずに参加しているが「歩きながら寝てるんちゃうか?(河村投手コーチ)」とからかわれる。しかし本人曰く「もともと目が小さくて細いんです」とか。そんな井上が朝食となると人が変わったかのように俄然ハッスルして丼メシを3杯もおかわりする。逆に早起きを苦としないのが河埜選手と池之上選手で、何しろ休みの日でも午前6時前には起床して呉港から瀬戸内沖に釣りに出掛ける程だ。

【 昼 】:一歩グラウンドに入ると門田選手に目を奪われる。フリー打撃で柵越えを連発。バットを握るやさっきまでナインや記者らと冗談を言い合いニコニコ笑顔から一変し近寄り難い雰囲気を漂わせて打席に入る。その打球のド迫力には見慣れた呉の野球ファンも改めて驚き、ため息を連発する。しかし思わぬ余波も。もし打球が外野スタンドのお客さんを直撃すれば大事故に成りかねず慌てた球団は外野スタンドの開放を取りやめた。チーム最年長選手ながら報道陣からインタビューを申し込まれる数は群を抜いている。ドカベンこと香川選手ら若手選手にまだまだ主役の座は渡していない。投手陣で目立つのが昨シーズンは高卒新人ながら5勝4Sを挙げた加藤投手。今キャンプも順調でギャル人気も急上昇し移動中にユニフォームや帽子を引っ張られて大騒ぎ。

【 夜 】:「お前の部屋には防音装置が必要だぞ」とナインにひやかされているのが香川選手。とにかく香川選手のイビキは体格同様にヘビー級。余りの凄さにこの5年間、香川選手の同室者はゼロで誰に気兼ねする事なく思う存分に大イビキをかいている。「眠った後の事は分かりませんよ」と頭をポリポリ。同じ捕手の岩木選手はそのいかつい外見とは違って実にお上品な寝相だそうだ。眠りについた寝姿は朝おきるまで変わらないらしい。門限時刻の午後11時を過ぎると多くの選手達が山内和投手の部屋にゾロゾロと集まって来る。小腹が空いて何か食べ物が欲しくなっても門限があり外出できない。そこで日頃から食料品をドッサリ買い込んでいる山内投手におすそ分けを頂戴しよういう訳。

【 推奨株 】:去年の甲子園でアイツ(松崎秀昭投手)が投げているのを見た印象は粘りのある投球をするな、というもの。中モズでの1次キャンプでは二段モーションと指摘されたけど呉キャンプではきっちり直っていた。僅かの期間で修正できる能力は大したもんだよ。センスを感じるね。プロの眼から見ると左足がやや開き気味なのが気になるけど今の所は好きにやらせている。下手投げはウチにいないから期待している。先発タイプだから慌てずゆっくり大きく育てたい。2年後には出て来るよ(河村投手コーチ)

【 我が家へのラブコール・吉田博之 】
僕と同じく新婚のドカベンが呉のキャンプ地から休みの日に大阪に帰ったけど僕は帰らず宿舎でゴロゴロしていました。電話?僕からする事はないですね。たまに女房からかかってくる程度です。自分で言うのもなんですが亭主関白なので家の事は全て女房に任せていますから。確かに1ヶ月も離れていれば会いたくなりますけど、今は野球の事で精一杯で寂しがっている暇がありません。捕手のレギュラー争いの真っ只中ですから。レギュラーを獲って女房に良い報告が出来るようにしたいですね。


【 ウチの秘密兵器…山川周一
聞き手…呉に来てちょっと痩せたんじゃない?
山 川…そうですね、一軍のプレッシャーもあって3㌔くらい痩せました。でも体調は良いし球も走ってます
聞き手…若い女性人気も " 三羽ガラス(畠山・加藤・藤本修)" に負けてないですね
山 川…そうでもないですよ。寮に来るファンレターは週に3通くらいだし、バレンタインデーもチョコも畠山や加藤の方が多かったです
聞き手…ちょっと悔しい?
山 川…彼らは一軍で頑張ってますから仕方ないですよ。でも畠山や藤本は同級生で加藤は後輩だし今年は負けません
聞き手…山川君と言えば3年前の入団会見で「野球は好きじゃない」と発言して周囲を驚かせましたね
山 川…あれはね、僕のドラフト指名順位が4位で1位の畠山ばかり注目されていたので悔しくてつい言っちゃいました。反省してます(笑)
聞き手…と言う事は野球の実力じゃ負けてないと言いたかった?
山 川…当時は思い上がってました。今年はフォーム改造も上手くいってスピードも増したし畠山とも五分の勝負が出来ると思います
聞き手…2年間プロを経験してどう感じた?
山 川…想像通りでした。崇徳高の野球部の合宿所前に広島カープの寮があって原さんが素振りをしていたり、プロ野球選手の練習ぶりを
      見ていたので厳しさは分かっていました。でもついていけない程とは思っていなかったので迷わずプロ入りしました

聞き手…甘いマスクに実力がついてくれば人気でも畠山投手らを越えられそう?
山 川…来年のバレンタインデーでは圧勝したいですね(笑)

昨年の熊本秋季キャンプからよく喰らいついて離れなかった。改造中のフォームがようやく自分のモノになりつつある。球威も申し分なく
今年こそ戦力になりそうだ(河村投手コーチ)

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