◆ 夢の1000万円へ元日から走る
練習好きで定評のある太田投手が今年もまた元日から恒例のトレーニングを開始した。プロ入り前から数えてもう10年。「高校1年の時から元日に走っているので僕にとって年中行事。これをやらないと新年を迎えた気持ちにならない(太田)」と。三沢高校時代は青森で初日の出を拝んだがプロ入り後は藤井寺で心を新たに新年を迎えている。ここ数年は先発ローテーション入りはしているものの、今ひとつ活躍できていない。相変わらずの人気先行で結果が伴っていない。今年こそ、と期待されているが過去7年で15勝の壁を破れずにいる。
「いつも暮れにスカッとした契約更改をして新しい年を迎えるのですが勝ち星は伸びませんね」と自戒の意味を込めて言うのだが、エース級の投手の成績には程遠い。「良い成績を残せば当然年俸もアップする。今年こそ15勝以上勝って1000万円プレーヤーになりたいですね」と話す太田の年俸は5%ダウンの730万円(推定)だからあと270万円で悲願達成だ。「15勝すれば無理な金額ではないと思います。僕もプロに入って今年で8年目。ピッチングのコツも徐々に覚えてきたし、これから油がのって来る年齢です」と自信もチラリ。
近鉄投手陣の中ではエースの鈴木投手が頭一つも二つも抜けている。その鈴木に迫る第二のエースが不在。マスコミには太田が「右のエース」と持ち上げられることがしばしばだが、実態はエースの名に相応しい活躍は見せていない。それは太田自身が誰よりも分かっているはずだ。「僕のピッチングは甘い。もっと慎重に攻めていかなければダメだと分かっています。今年は巳年、粘っこいピッチングを心掛けます(太田)」と。近鉄投手陣の太い柱になれるかどうか。太田の成長なしに近鉄の躍進は望めない。
◆ 鬼の監督つかまえ「オッス!」
今年の宿毛キャンプにドラキュラが出現して話題になっている。ドラフト5位指名の山本和範投手(戸畑高)はやる事なす事すべてが型破りで先輩連中を喰い潰す仕草と風貌からドラキュラと呼ばれるようになった。高校の卒業試験の為に数日遅れてのキャンプイン直後にいきなりやらかした。初練習は他の新人とは別に午後からの参加となったがトレーニングコートの襟を立てたまま西本監督に向かって「オッス!」。これには西本監督も一瞬キョトンとしたが直ぐに「人に挨拶をするのにその態度はなんや!コートぐらい脱げ!!」と一喝。
続いて次はコーチ陣が面喰う。フリーバッティングの投手を務めた岩木コーチが投げ始めると山本は打つのを止めて岩木コーチの方へつかつかと歩み出す。周りが何事かと注目すると山本は「球が遅すぎて練習にならない。もう少し速い球を投げて下さい」と。ナニッ!と怒った岩木コーチは現役時代は捕手だった強肩で力いっぱい投げ込んだが山本は苦も無く1発、2発と右翼場外へ打ち込んだ。これには首脳陣も口をアングリで早速に朝9時半練習開始の早出組(二軍)から10時開始の遅出組(一軍)に配置換えとなった。
高卒新人として破格の扱いを受けている山本は当分の間は投球練習はお預けで一塁や外野の練習をしている。何しろ山本は巨人の入団テストに合格したのに高校を卒業できずプロ入りを棒に振った変わり種。結局、高校を留年し晴れて近鉄にドラフト指名されてプロ入りしたが、今年も卒業できるか分からないという。「野球しか取り柄がない僕だから卒業なんてもうどうでもよくなりました。だって巨人より近鉄の方がレギュラーになり易いでしょ」と。異色の新人の目標はどうやら指名打者らしいが西本監督の判断は如何に?
◆ これじゃあまるで高校野球?
オープン戦で猛牛打線は元気だ。ただしそれが得点に結びつかないという悪癖を露呈しているが。「打撃は好調だが打線として機能していない」と西本監督も渋い顔。熊本でのクラウン戦でも12安打したものの得点は佐々木選手のソロ本塁打の1点のみ。「糞ボールを振ったり走者を還す状況判断が出来ていない(西本監督)」と11残塁。オープン戦当初から西本監督は敢えて選手の自主性に任せて試合に臨んできたが、選手は好き勝手に打つだけでプロとして恥ずかしい結果に。
「プロなんだから状況を考えて打席に入ってもらわんと困る。そうじゃないと公式戦が始まっても、いちいちベンチから指図をしなければならない。そんなのはプロ野球じゃなくて高校野球だよ」と関口打撃コーチ。ところが選手に任せると走者は進められない、挙句は牽制死が二度と散々。「エンドランや盗塁のサインが出ていたのならともかく、何もないのに考えられんわ(関口コーチ)」と呆れ顔。ただし個々の調子は良さそうで「ベテランも若手も順調で誰を起用するべきか難しい」と西本監督は別の意味でも頭を悩ましている。
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