◆ 内野はそのまま、外野を一変
本拠地・西宮球場の人工芝への変更が検討されている。新大阪駅北側に阪急電鉄が所有する土地があり、そこに国産メーカー2社・海外メーカー1社の人工芝が敷かれ耐久テストが実施されている。過日、上田監督が訪れて球の反発具合や品質を確認した。設計図によれば西宮球場の内野は従来通り黒土で外野を人工芝にする予定である。同球場は組み立て式競輪場と併用され、左翼から中堅にかけて自転車が走行するバンク部分の天然芝が削り取られており守備の面では勿論、美観上もマイナスである。
採用品が決定しても製品納品に3ヶ月、改修工事に1ヶ月以上かかる為、新生・西宮球場がファンの前にお披露目できるのは1年以上先の昭和53年春以降となる。「現場の立場から言わせてもらえば、選手にとって人工芝は疲れやすく怪我のリスクもあり全面的に賛成は出来ないが、お客さんの目を楽しませるスタジアムになって欲しいし、痛し痒しだね」と上田監督も複雑な心境のようだ。
◆ ナ~ニ、1週間もあればベスト
いつやって来るのかと周囲をヤキモキさせていたマルカーノ選手がようやく来日した。当初の予定では高知キャンプ終盤の2月20日頃には合流する予定だった。ところが2月中旬になっても消息不明で国際電話をかけても不在、手紙を出しても返信なし。どうやら本人は休暇と洒落込んでいた。実は昨年の暮れから南米のウインターリーグに「ラグワイラ」の一員として参加し、チームの地区優勝に貢献した。チームはプレーオフで敗退したが最終試合が2月2日だった為に先送りしていた休暇を過ごしていたのだ。
「プレーオフが終わったら直ぐに日本に行こうと思ったけど疲れもあったし風邪気味だったので静養していた。開幕は4月でしょ?充分間に合うよ」とマルカーノ本人は涼しい顔。上田監督ら首脳陣は新加入の島谷選手との連携プレーなどチームプレーの確認を急ぎたかったが、「そんなのは1週間もあればOKよ」と意に介せず、心配するなと余裕の表情。なにはともあれこれでV2メンバーが勢揃いし「よっしゃ、これで三連覇の役者は揃った」と上田監督。ちなみにウインターリーグでの成績は45試合・打率 .275・3本塁打・16打点だった。
◆ 山口、モーガンの二人三脚
剛腕・山口投手が20勝投手への道を着実に歩んでいる。高知キャンプでの山口の課題は2つ。正しい投球フォームの確立とチェンジアップの習得だ。特に主眼を置いたのが投球フォーム。昨年の日本シリーズでも露呈した突如として制球を乱す悪い癖はプロ入り以来直っていない。その原因は左肩の開き。梶本・植村両投手コーチだけでなく、キャンプに招聘されているモーガン臨時投手コーチも同様の意見。なぜ左肩が開くと制球が乱れるのか?上半身が打者に正対する際に左肩が開くと球のリリースポイントがズレて狙った所に球が行かなくなる。
プロ1年目が12勝、昨季も同じく12勝とあれだけの豪速球がありながら勝ち星を伸ばせなかったのは春先の怪我も理由の一つだが、煎じ詰めれば制球力不足が主たる原因だ。「3年目の今年こそ20勝投手の仲間入りをしたい。その為にもキャンプで修正して開幕を迎えたい」と山口も意気込む。一方でチェンジアップの習得にも熱心だ。「打者はタイミングで打ってくる。だったらそのタイミングを外せば打たれない」がモーガン投手コーチの持論。「チェンジアップといっても投げ方は何十種類とある。ヤマグチに合った投げ方を教えたい」とモーガン投手コーチ。「いい感じです。オープン戦で披露しますよ(山口)」と手応え充分のようだ。
効果は直ぐに現れた。阪神とのオープン戦に先発した山口は当初の5回までの予定を6回まで投げ好投した。先ず立ち上がり、先頭の中村勝選手をカーブで空振り三振。二番・藤田選手は左打者の泣き所であるヒザ元を突いてボテボテの二ゴロ。バットを折られた藤田は「チェンジアップがいいね。遅い球を見せられた後の直球は当てるのが精一杯」とお手上げ状態。売り出し中の三番・掛布選手も赤子の手をひねるが如く抑えた。明らかな高目のボール球が減った。投球数78球のうち4球投げたチェンジアップの成果も上々で、「エエでぇ、20勝いけるでぇ」と上田監督も御満悦。
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