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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 512 タカ番地獄耳

2018年01月03日 | 1985 年 



出たぁ、定岡選手のビックリ箱アーチ。定岡と言えば昨季までの九番打者で思いがけない場面で一発を放ち、付いたあだ名が「ビックリ箱のサダ」。ただ昨季のアキレス腱断裂からの回復具合が思わしくなく遊撃のレギュラーを小川選手に明け渡し、今一つ精彩を欠いている。そんな定岡が本領を発揮したのが6月22日のロッテ戦。ロッテ先発の仁科投手を打ちあぐねていた7回表、左翼席へ逆転の3ラン本塁打を放ち4対3で逆転勝利した。試合後の定岡は「真ん中からややインコース寄りの真っ直ぐ、いやカーブ。どちらにしても打ち易い球だった」と訳の分からぬ解説。理路整然と話を並べ立てるよりこの方が定岡らしい?

最近のプロ野球はスポンサーがやたらと多く試合後のベンチ裏は景品が山積みされている。勝利投手や猛打賞なら話は簡単だが例えば併殺を1つ完成させると金5千円也が進呈されるのだが、これが厄介だった。6月22日・23日のロッテ戦は3併殺で計1万5千円がチャリン!問題はこれをどう分配するかで喧々諤々。「やっぱり併殺プレーに関与した野手で分けるべき」「いや併殺打を打たせたバッテリーに」「悪送球に備えてバックアップに走る者にも」などなど。結局は永山マネージャーが預かって後日、選手会で決めるとし一件落着した。

ハムはもう食べ飽きた?プロ2年目の昨季から日ハム戦は負けなしの5連勝中だった藤本修投手。6月2日の対戦で初めて負けたが " ハムキラー " の称号は揺るがないと思われたが6月20日の試合でその看板もぐらつき始めた。「カーブが全然ダメでストライクが取れませんでした(藤本)」仕方なく直球主体の投球を余儀なくされたが、一本調子の投球には滅法強い日ハム打線に捕まり初回5失点。結局、3回 2/3 イニング・6失点KO。愛称が " ニャンコ " だけにハムは大好物の筈がどうしたのか?「奴はカーブが決まらないと一・ニ・三で投げるただの投手。悪いなりの投球はまだ無理」と河村投手コーチはバッサリ。

チームきってのカーキチは山内和投手。いま乗っているソアラはフルチューンアップでタイヤも高価な代物。「そろそろ買い換えようかなと。次は外車がいいっスね」と。そんな山内が入団1年目に実家のある静岡から大阪の合宿所まで乗りつけたのが大型の国産車。トラック野郎ばりに内装は派手で、床には絨毯が敷き詰められていた。取材する記者に冗談ではなく本気で「車に乗る時は靴を脱いで下さい」と言うくらいカーキチの山内が昔から憧れているのがドイツの高級車・BMW。次の車が国産車かBMWかは今季の頑張り次第?


低迷の原因は投手力でも打力でもない。活きのいいリーダー不在が元凶
南海の弱点は投手?打線?守り?はたまた首脳陣?挙げればキリがない。昨季まで7年連続Bクラスの原因をひと口で言い表すのは無理。そこで今回は日頃あまり指摘されない事を紹介しよう。「ウチはなぁ、守勢になると弱いんや」と穴吹監督が言っていた。「勝っている時はよく声も出るんだが劣勢になると、とたんにシュンとしてしまう。元気がいいのはワシ(穴吹監督)と広報部長(永井氏)とマネージャー(永山氏)だけや。もっとベンチをワッと盛り上げる奴がおらんかなぁ」とチームの先頭に立って牽引するチームリーダー不在を嘆いた。なるほど試合中のベンチを観察すると監督らが絶えず大声を張り上げている傍らで選手はジッと戦況を見つめているだけだ。

昔の南海には口うるさい連中が数多くいた。例えば森下(現解説者)は三塁を守っている最中も1球毎に大声を張り上げていた。終盤に入ってリードされていると誰かれとなく「さぁ行こうか!」と声をかけ反撃に出た。今はそんな掛け声を発する選手は見当たらない。「なるべく声を出すようにしているんですが…。ウチの選手は大人しいんですかね」と選手会長の池之上は小首を傾げる。巨人の中畑を筆頭に各チームにはムードメーカーがいる。どんなに苦境に陥ってもその選手がベンチを活気づけ暗いムードを一掃する、そんな選手が南海には必要なのだ。「南海さんはウチみたいなポッと出のチームとは違って伝統が有りスマートで都会的なチームだからお上品なのさ」と西武・広岡監督は皮肉を込めてチクリ。

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