会場の中央に置かれた大作「ネェ ダンナサン あるいは断・弾・壇」(260×440×260)が、とにかく圧巻!
STVエントランスアートのサイトによると、この展覧会シリーズが始まって以来、最大の立体作品という。さもありなん、と思う。もっとも、パルプに黒鉛を塗って制作しているので、見た目の重厚さとはうらはらに、けっこう軽いとのことである。
この作品については、札幌圏の各戸に配布されている北海道新聞社系のフリーペーパー「オントナ」に、短いけれど非常に的確な紹介が載っていたので、引用したい。
「ペンは剣より強し」。
こういうまっすぐな主張を口にできる美術家がいま北海道にどれだけいるだろう。
筆者は、美術がかならず政治的・社会的な主張を含まなくてはならないなどとはみじんも思ってはいないけれども、そのような主張が込められた日本には作品が少なすぎると常日ごろから感じている。
阿部典英作品のすごさは、そのような主張を知らなくても、ただ造型だけですごさを感じるところであろう。
巨大な砲弾、あるいはトーチカを思わせる立体は、近づくとものすごい圧迫感がある。
「わたしたちをおしつぶすもの」の暗喩といってもいい。
それを、「戦争」とか「ファシズム」といったことばに置き換えることは悪くないけれど、置き換えたことで満足してしまうと、アートが本来もっているすごさを感じないで終わってしまうと思う。
阿部さんがかつて手がけた火星人の木彫シリーズのように、どこかユーモラスな表情がわずかに漂っているのが救いといえば救いだが、しかし全体的な印象としては、圧倒的な重量感と暗い感じが支配的だ。
彼は、まだまだ言いたいこと、表現したいことがたくさんあるにちがいない。盟友(米谷雄平氏)は逝ったが、オレはまだ表現したいんだ!、と。
圧迫感は、彼の切迫感の反映なのかもしれないと感じたのだった。
2009年6月29日(月)-7月19日(日)9:00-18:00(土、日曜-16:00)、会期中無休
エントランスアートSTV北2条ビル(中央区北2西2 地図A)
■さいとうgallery企画 第15回夏まつり「星・star」展 (7月19日まで)
■SAPPORO ART PLANETS展 (2009年5月)
■見えるもの⇔見えないもの-イマジネーションのちから- (2009年1-3月)
■交差する視点とかたち vol.2 (2008年7月)
■交差する視点とかたち 川上力三・阿部典英・下沢敏也(07年7月)
■SCAN DO SCAN(07年10-12月)
■企画展「07→08」(画像なし)
■WAVE NOW 06(阿部さんが参加)
■北海道立体表現展(06年、画像なし)
■阿部典英個展(2002年)
■北方圏美術展(2002年、阿部さんが参加)
STVエントランスアートのサイトによると、この展覧会シリーズが始まって以来、最大の立体作品という。さもありなん、と思う。もっとも、パルプに黒鉛を塗って制作しているので、見た目の重厚さとはうらはらに、けっこう軽いとのことである。
この作品については、札幌圏の各戸に配布されている北海道新聞社系のフリーペーパー「オントナ」に、短いけれど非常に的確な紹介が載っていたので、引用したい。
(前略)新作は、“弾丸を断ち、戦いをやめない限り祭壇(墓)が増えるだけ”という反戦の思いを込めた「ネェ ダンナサン あるいは断・弾・壇」。板に濡(ぬ)れたパルプを塗り付けて乾燥させ、油性ペイントと黒鉛を塗り、亀の子タワシでこすって鈍い光沢を生み出す独特の手法で鋼鉄の砲弾めいた姿に創(つく)り上げた、長さ4m40cmもの大作だ。突き出た赤いエンピツ型の部分には「ペンは剣より強し」の思いを込めたという。(以下略)
「ペンは剣より強し」。
こういうまっすぐな主張を口にできる美術家がいま北海道にどれだけいるだろう。
筆者は、美術がかならず政治的・社会的な主張を含まなくてはならないなどとはみじんも思ってはいないけれども、そのような主張が込められた日本には作品が少なすぎると常日ごろから感じている。
阿部典英作品のすごさは、そのような主張を知らなくても、ただ造型だけですごさを感じるところであろう。
巨大な砲弾、あるいはトーチカを思わせる立体は、近づくとものすごい圧迫感がある。
「わたしたちをおしつぶすもの」の暗喩といってもいい。
それを、「戦争」とか「ファシズム」といったことばに置き換えることは悪くないけれど、置き換えたことで満足してしまうと、アートが本来もっているすごさを感じないで終わってしまうと思う。
阿部さんがかつて手がけた火星人の木彫シリーズのように、どこかユーモラスな表情がわずかに漂っているのが救いといえば救いだが、しかし全体的な印象としては、圧倒的な重量感と暗い感じが支配的だ。
彼は、まだまだ言いたいこと、表現したいことがたくさんあるにちがいない。盟友(米谷雄平氏)は逝ったが、オレはまだ表現したいんだ!、と。
圧迫感は、彼の切迫感の反映なのかもしれないと感じたのだった。
2009年6月29日(月)-7月19日(日)9:00-18:00(土、日曜-16:00)、会期中無休
エントランスアートSTV北2条ビル(中央区北2西2 地図A)
■さいとうgallery企画 第15回夏まつり「星・star」展 (7月19日まで)
■SAPPORO ART PLANETS展 (2009年5月)
■見えるもの⇔見えないもの-イマジネーションのちから- (2009年1-3月)
■交差する視点とかたち vol.2 (2008年7月)
■交差する視点とかたち 川上力三・阿部典英・下沢敏也(07年7月)
■SCAN DO SCAN(07年10-12月)
■企画展「07→08」(画像なし)
■WAVE NOW 06(阿部さんが参加)
■北海道立体表現展(06年、画像なし)
■阿部典英個展(2002年)
■北方圏美術展(2002年、阿部さんが参加)